【永平寺から無一文で帰るもん。】vol.7  おくのほそ道と高倉健

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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。

Contents

前回までのあらすじ

2日目

小松駅で托鉢をしていると、少年が私に5円の「お布施」をしてくれ、その重さをしみじみと感じたのでした。

その後、駅前で少し休憩をしているとおじいちゃんが話しかけきて、

「この近くに曹洞宗のお寺があるから泊めてもらうといい」という無謀な提案をしてきました。

しかし、その無謀な提案にまんまと乗っかりお寺に電話をしたところ、すんなり「OK」をもらえたところまでお送りました。

バックナンバーは以下から読むことができます。

【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】vol.1~6

今回はおくのほそ道と高倉健と題し、2日目で泊まった建聖寺の様子と、3日目の金沢駅までの行程をお送ります。

 

逆走、おくのほそ道?

2日目 pm5:00~

お寺に電話をしたらいつでも来ていいというので、すぐさま向かうことにしました。

いや、だけど半分疑ってます。

だって・・・

普通、いきなり電話してきた人を泊めます?

詐欺とか泥棒とか、もしくは何かの勧誘とかかもしれないじゃないですか。

それを、二言返事でOKって・・・

逆にこっちが大丈夫かな?という気持ちがありました。

すみませーん!
先ほどお電話した者ですがー!

はーい!
あらー、本当にその格好で歩いて来たのかい?
どうぞ、どうぞー
お上りください!
(前回とおばあちゃんのアイコンが違いますがお気になさらず。)
私という存在を、何も疑うことなく受け入れてくれます。
なんて優しいんだ!

イメージ図

到着して通された部屋にはすでに布団が引いてあり、お茶とお菓子を出してくれます。

永平寺から歩いてきたの?
偉いねー。
昔は何人か歩いて帰るって泊まりにきたことあったけど、
ここ10年くらいはパッタリ見なくなったよ。
なるほど。
昔は結構泊まりに来る人がいたみたいです。
その名残?で私が泊まらせて下さいという無茶振りにも、すぐにOKしてくれたんですね。

ちょっと冷たいもの飲むかい?
用意してくるから少し寛いでてください。
と、おばあちゃんが奥に消えていくのと同時に住職さんが入ってきます。

ようこそいらっしゃいました。
うちのお寺は云々かんぬん・・・
松尾芭蕉が云々かんぬん・・・
と、お寺の歴史や松尾芭蕉が宿泊したことがあることや「おくのほそ道」についてなどを語ってくれました。
そしてこの時、はじめて気づきました・・・
「おくのほそ道の逆走じゃん!」
そうです。
私が辿る道は、ほとんど松尾芭蕉が「おくのほそ道」で通った道のりと同じだったのです。
そして、この建聖寺では松尾芭蕉の木像や宿泊した時に残したとされる句碑を見ることができます。
しほらしき 名や小松吹く 萩すすき松尾芭蕉
と、いう俳句をここ建聖寺で詠まれたそうです。

出典:大垣市

松尾芭蕉ファンのみなさま。

近くを通った際は是非お立ち寄りください。

あのビールの美味しさ

と、住職さんの話を聞いていると奥からおばあちゃんが帰ってきました。

あんた、お坊さん疲れてるんだから止めなさい!
ごめんなさいね〜
この人話すと長いから〜
夕飯は今用意しているから、これでも飲んで休んでて下さい〜
住職さんはおばあちゃんに言われるがまま、渋々奥へと消えていきました。
そして、私の目の前に出されたのは、それは・・・

ビ、ビール!

 

誤解や非難を恐れずに言いますが、私はとてもお酒が好きです。

ただ、無一文で歩いて帰る旅なので、中々お酒を飲むことができないと思ってました。
ちなみにまだ2日目です。

こんなに早くビールを飲んでいいものなのか。

いや、しかしいただいたものは全て有り難くいただきます!

 

このビールを、私は映画「幸福の黄色いハンカチ」で高倉健演じる島勇作が網走刑務所から出所して、一番最初に立ち寄った定食屋で頼んだサッポロビールの赤星を飲んだ時と同じくらい感慨深く飲んだのでした。(説明が長い)

出典:NEVERまとめ

マンガ「賭博破戒録カイジ」の名セリフ「キンキンに冷えてやがる」が出てくると思った読者もいるでしょう。

しかし私は高倉健が演じるこのシーンこそ、日本一ビールの美味しさと有り難さを再現しているシーンだと感じています。
まだ観たことがない人はこの映画を観てもらえたらと思います。

ちなみに、高倉健はこの撮影のために2日目間食事を抜いたそうです。

ビールもこんなに美味しそうに飲まれて幸せそうだなー。

あれ?

何の話だっけ?

すみません。

だいぶ脱線してしまいました。

お腹いっぱいになったかい?
この近くに銭湯があるから行ってくるといいよ!
 うちの娘が送ってってくれるからさ!
お茶やお菓子、ビール、夕飯もご馳走になり、その上で銭湯にまで連れて行ってくれました。
そして更に更にこの時、銭湯代と言って「5000円」をティッシュに包んで渡してくれたのでした。
まさに、至れり尽くせり!
何回も言います。
なんて優しいんだ!

イメージ図

ただ、このお金は托鉢で得たお金では無いので、手をつけずに取っておこうと決めました。
何回も言います。
まだ2日目です!笑
でも、すでに旅をすることで出会える「ご縁」を感じずにはいられません。
最初に抱いていた「不安」や「恐怖」というのが、少しずつ、本当に少しずつではありますが、私の心の中から払拭されていく感覚がありました。
色々あった2日目の夜。
身体も心も満たされて、暖かい布団の中で眠りにつくのでした。

金沢駅へ

3日目 am7:00

少しどんよりした天気ですが、温かいお布団で眠れたことで、スッキリと目覚めました。

朝ごはんも頂き、身支度を整えます。

体に気をつけて帰るんだよ。
またこっちに来ることがあったら寄ってね。
テレビ「田舎に泊まろう!」で、お別れの朝で涙するタレントさんの気持ちがよくわかります。
建聖寺の住職さんとおばあちゃんの優しさにふれた一晩でした。
涙を堪え、住職さんとおばあちゃんとお別れをし、3日目の目的地である金沢駅を目指し「おくのほそ道」を逆走します。
歩行予定距離は約30km。
これから段々と1日の距離を伸ばしていこうと考えていました。

2日目と同じく、北陸の8号線沿いを歩きます。

この時、歩き始めてすぐ足に違和感を感じます。

 

「あれ?左足が少し痛い・・・」

 

この違和感が後々大きな障害となって私を苦しめるとは露知らず。

まだまだ痛みというより、違和感だったので何も気にすることなく歩き続きます。

市街地を抜けると、両脇は田んぼや畑が広がります。

私の横を車がビュンビュンとあっと言う間に通ります。

たまに、小松空港から発着する飛行機が頭の上を通ります。

一人トボトボと歩いていると、普段当たり前に乗っている車や飛行機が改めてどれだけ凄い乗り物か気づかされます。

この時間があったら地球一周することだってできると考えたら、まさに人類の叡智、文明の利器に驚きを隠せません。

しかし私は人間の原点に基づき、ただただひたすらに歩きます。

只管徒歩しかんとほ(そりゃそーだ!笑)

朝からどんより曇り空の天気でしたが、ついにお昼頃から雨が降り始めました。

ちなみに雨対策ですが、バックパックには防水カバー、そしてカッパを羽織ります。

頭に被っている網代傘には専用の雨よけカバーがあり、それをつけて雨の中でも極力濡れないように歩いていました。

雨宿りしながらも、能美市、白山市、野々市市を通り午後3時頃には無事に金沢駅に到着しました。

前回もお伝えしましたが、市街地を抜ける大きな道路はとにかく歩きやすいです。

時間的にも余裕を持って、金沢駅に辿り着きましたが、雨が降っていたこともあり、この日は少し体力を消耗していました。

それでも、この日も金沢駅で托鉢をすることにしました。

なぜなら・・・

この後の旅程では、托鉢をしている余裕がないからです。

今後は1日40~50km歩く日が出てきます。

そうすると、托鉢をしている時間も体力も無いと、この時肌で感じていました。

と、言うことでこの日も金沢駅前で托鉢をすることにしたのでした。

続く

次回予告

2日目は、人の優しさってこんなにも温かいんだなーと、感じた日でした。

この旅で、まだ体力的にも余裕があり、更に色々な出来事があったので、特に記憶に残っているのが2日目です。

なので、少し長めに綴らせていただきました。

これから、どんどん精神的にも体力的にも削られていく様子が伺えると思います。

次回は金沢駅での托鉢と、野宿、そして富山までの道のりをお届けできたらと思います

vol.7「おくのほそ道と高倉健」を読んでいただきありがとうございました(^ ^)

続きはこちら↓

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