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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。
Contents
前回までのあらすじ
2日目
おそらく人生の後にも先にもこの1回だけではないかと思うリアル「田舎に泊まろう!」を経験した、深澤亮道。
松尾芭蕉が泊まったとされるお寺で一泊させてもらい、人の優しさ、人の温かさに触れたのでした。
前回は3日目、左足に若干の違和感を感じながらも、金沢駅まで着いたところまでお送りしました。
バックナンバーはこちらから。
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今回は金沢駅での出来事と、富山までの道のりをお送りしたいと思います。
金沢駅に到着
3日目
時刻は午後4時を回った頃。
雨が降り続く中、小松駅前の建聖寺から約30kmの道のりを歩き、無事この日の目的地である金沢駅にたどり着きました。
当初は野宿の予定でしたが、この時脳裏に浮かんだのは「宿に泊まりたい!」という本音。
やはり雨の中歩いてきたので体力を消耗していました。
このまま野宿をしたら風邪でもひいてしまういそうな状況です。
しかし、残金は前回小松駅で托鉢をした1000円と数百円。
翌日以降の日程は歩く時間が長いため、托鉢をしている時間はありません。
そして、何より多くお布施が集まれば「宿に泊まりたいなー」と思いつつ、ここ金沢駅で托鉢をすることにしました。
What's 金沢?
ご存知の方も多いと思いますが、ここ「金沢市」は江戸時代から加賀百万石を誇った前田家の城下町として栄え、現代においても日本三大名園のひとつ「兼六園」をはじめ、「ひがし茶屋街」や「金沢城」など歴史的景観の残る街として有名です。
そしてなんと言っても日本海の新鮮な海の幸が人々の舌を喜ばせます。
また2015年には北陸新幹線が開通し、東京駅から金沢駅までわずか2時間半のアクセスが可能になりました。
つまり「観てよし、食べてよし、アクセスよし」の「歴史と文化」が楽しめる北陸最大級の都市なんです!
さらにさらに、ここ金沢駅は巨大なガラス屋根のドームと、能楽の加賀宝生で使う鼓をイメージしたアーチが評価され、アメリカの旅行雑誌で“最も美しい世界の駅14選”として国内で唯一選ばれました。
小さくて分かりづらいかもしれませんが、矢印の下辺りで托鉢をしました。
再び駅での托鉢
初めて金沢駅に着いた時に思った時は、駅とは思えない圧倒的な美しさの外観に目を奪われます!
ここまで金沢推しをして何が言いたいのかといいますと・・・
場違い!
行き交う人々の多くは、明らかに観光客とみられるキャリーバックや大きなバックを持っています。
「歴史と文化の街」の、このおしゃれな駅に托鉢僧ってなんか合わない!
この時の私はまさしく、東京ディズニーランドのエントランスから入ってすぐのワールドバザール内で托鉢をしているような気分でした。
ちょっと天井の感じ似てません?笑
私は完全に空気と化しています。
金沢駅はもちろん人は多く通りますが、こちらに関心を寄せることなくそそくさと目の前を通りすぎます。
1時間半ほど托鉢を行い、500円ほどのお布施をいただいたところで、辺りはすっかり真っ暗になったため、私は托鉢をやめることにしました。
托鉢の後悔
この時、私は金沢駅という大きな駅で托鉢をするのだから、安い旅館に泊まれるくらいのお布施が集まるのではないかと思っていました。
もちろん500円という金額も安い金額ではありませんが、予想と反したことに少し落ち込み、そしてこの時気づいたことがあります。
それは、観光客が多いからとか、おしゃれだからという要因もあるかもしれませんが、それよりもおそらく「宿に泊まりたい!」「楽をしたい!」と思ってしまった、自分自身の甘えと欲望が出てしまったのではないかと。
この時の私は、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でレオナルド・ディカプリオ演じる主人公ジョーダン・ベルフォートが、どんな手段を使ってでも富と権力を手に入れたい気持ちと同じになっていたような気がします。
金を稼げば問題は解決する!
と、いう一方的な自己の欲求のままにお金を稼ぎまくる、ジョーダン・ベルフォート。
実話を元に描かれている映画ですが、ジョーダンはなんと26歳で年収46億円を稼ぐことになります!
もちろんその稼ぎ方には詐欺行為も含まれ、最終的には数々の悪行がバレて逮捕され転落人生を送ることになります。
もちろん46億円と500円ですから、スケールは全く違いますが一方的な自己の欲求のためにお金を得るという行為自体は同じではないかと、この時感じたのでした。
「あぁなんて不純な気持ちで托鉢をしてしまったんだ・・・」
以前「vol.5 ダンプと托鉢と家なき子」でもお伝えしましたが、托鉢は自分が生活をするだけの最低限のお金や物を得るという修行以外にも、お布施をする側の修行でもあります。
私のこの日の行為は、お布施をする側の修行になるとは考えずに、自分が宿に泊まりたいという欲求のために托鉢をしてしまいました。
この金沢駅での托鉢は、托鉢という行為、そしてお布施をいただくという行為の精神面も深く考えさせられる出来事でした。
もし、ここでたくさんのお布施が集まっていたら…?
お金というもの、他者を思いやることなく、物として得られたからラッキーくらいにしか思っていなかったと思います。
永平寺を出てからの3日間、苦しいながらにも人に助けられ、ご縁の中で歩いてこれたのは、自分に一方的な欲がなかったからなのかもしれません。
改めて、旅をすることで一日一日得難き経験をしているのだと気づかされました。
この日は、自分の欲深さに反省をし、近くの川の橋の下を寝床にしたのでした。
富山まで
4日目
金沢駅から300メートルほどのところに浅野川という川が流れており、市内から東側に行くために中島大橋という橋がかかっています。
昨晩はここの橋の下でお世話になりました。
先にもお伝えしましたが、金沢市は城下町であり、お店や民家が密集しています。
なので、人目につく場所が他に無く、ここで一晩寝ることになりました。
am6:00~
やはり、雨の中歩いたこともあり、明らかにこれまでより目覚めが悪い。
着々と疲れが蓄積されているのがわかります。
本日の目的地は、富山県射水市の「串田新遺跡公園」。
小松駅、金沢駅で学んだこと、それは・・・
「ちゃんと野宿をする場所は決めて歩こう!」ということでした。
なので、前日の夜に野宿できそうな場所を決めたのでした。
歩行予定距離は42kmです。(急に距離伸びとるやん!)
ほぼ、フルマラソンの距離です。
ちなみに、人間の歩行速度は平均で4kmだといわれています。
つまり、単純計算で10時間歩き続けないと辿り着けないことになります。
4日目になると、寝袋や簡易テントが入っているリュックが背中にずっしりとのし掛かってきます。
もうすでに1週間くらい歩いていると思っている読者の皆さんもいるかもしれませんが、実はまだ4日目なんです!笑
まだまだ序盤です。
頑張ろう、深澤!
4日目、今までの最長距離である42km先を目指して歩き出したのでした。
続く
次回予告
今回の金沢駅での托鉢は改めて、お金(お布施)を得るとは何か?それを再確認するきっかけになりました。
つまり何が言いたいかといいますと、皆さんも「金沢」を観光し、そして「ウルフ・オブ・ウォールストリート 」を観てみてはいかがでしょうか?ということでした。(違うか!)
次回は、今までの最長距離である42kmを歩きます。
2日連続の野宿になりますが、その辺り苦しさ?もお送りできたらと思います。
vol.8 「金沢駅での後悔」を読んでいただきありがとうございました(^ ^)