
スポンサードリンク
これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。
Contents
前回までのあらすじ
漆黒の暗闇の中、私の救世主となったリリーおじさん。
そのリリーおじさんから「怠ることなく精進しなさい(太るなよ!)」と諭されました。
しかしその直後に、温泉に浸かりラーメンを貪ってしまいカイジと同じ気持ちになり猛省。
初の野宿で道の駅の自動販売機の裏に泊まり、2日目は軽い足取りで小松駅に向かうところまでお伝えしました。
↓バックナンバーは以下から読むことができます。
今回は「ダンプと托鉢と家なき子」と題し、小松駅に着いてからの出来事をお伝えしたいと思います。
小松駅まで
至難の峠を下り、石川県加賀市の国道8号線を北上します。
国道8号線は新潟から京都まで全長500km以上、北陸地方全てを結ぶ主要幹線です。
いわば、北陸の大動脈!
加賀市から小松市に入り、小松市街に向かう道は国道8号線のバイパスである、国道305号線に切り替わりそのまま小松駅に向かって歩きます。
2日目、
足取りがとにかく軽い!
峠を越えてきたということもあるでしょう。
平地ということもあるでしょう。
いや、何より横を走る車に後押しされるように足が進みます。
途中、助手席に座る人がこちらをジロジロと見られる様子も伺えますが。笑
また建造物があることで、チェックポイントとなり、休憩するタイミングも測りやすい。
以前、知り合いが「田舎道のハーフマラソンより、東京マラソンの方が楽に走れる!」と、言っていた気持ちがよくわかります。
峠に比べてなんて歩きやすいんだ!
朝7時に出発し、お昼休憩なども挟みましたが、気づいたら午後の2時過ぎには小松駅に到着しました。

mapio.net
世界最大のダンプ
今日は野宿の予定でしたが、とりあえず小松駅にきたら、そこで決めればいいかと思っていました。
このまま進んでもよかったのですが、明日は金沢市までの予定だったので更に歩く距離が短くなってしまう。
「どうしよう・・・早く着きすぎた・・・」

イメージ図
早く着きすぎて頭を抱えます。
昨日と打って変わって、時間が余ってしまうのも悩みの一つになるのだと痛感しました。
ま、それも旅の醍醐味ですね!
時間があるので、小松駅の周りを軽ーく歩いていると・・・
でかっ!なにあれ!?
そこには超巨大ダンプが!
「なぜこんなところにこんなに大きいダンプが?
ん?小松市?こまつ?
あ!KOMATSUか!」
そうです、ここ小松市は日本が誇る重機メーカー「小松製作所」創業の地だったのです。
その跡地「こまつの杜」では世界最大級のダンプ930Eが日本で唯一見れることでも有名です。(今知りました)
これ男の人だったら絶対興奮します!
近くにお立ち寄りの際は是非ご覧になって下さい。
小松駅での托鉢
さて、本編に戻ります。
野宿の場所を探すのもいいけど・・・
お金が無いことに気づく、深澤亮道。
いや、気づいていたのだが、気づいていないふりをしていました。
実は、お昼に水を自動販売機で買ってしまったので、この時すでに残金60円。
「これはどうしたものか・・・
いや、考えても仕方が無い。
あれをするしかない!」
そうです!
みなさんご名答!
「托鉢」です!
托鉢とは?
皆さんも、もしかしたら一度は駅とか街中で見たことがあるのではないでしょうか?
お坊さんがなにやらお経のようなのを読んで立っているの姿を。
あれ、「托鉢」って言います。
托鉢とは、お坊さんが自分が生活する上で必要最低限の食料やお金をいただくために、街を練り歩いたり、また一定の場所で立つ修行法のことを言います。
古代インドでは仏教が起こる以前から托鉢が行われており、お釈迦様をはじめとする初期の仏教教団でも生活する上で必要な食料などは托鉢により得ていました。
中国から日本に仏教が伝播すると同時に托鉢も伝わり、現在でも行なっている寺院、僧侶は多く見受けられます。
実は、托鉢はお坊さんだけの修行ではなく、お布施をする側も修行となることはご存知でしょうか?
実はお布施をするということは、人に与えることで自分の執着を離れる、という修行でもあるのです。
ですから、托鉢はお坊さんもお布施をする側、双方にとっての修行となるということが言えるのです。
しかし、ここ日本では「乞食」は禁止されております。
「托鉢」との違いはそこに修行の意味合いがあり、宗教行為かどうかという点です。
厳しい表現になってしまいますが、お坊さんが行うのは「托鉢」であり、お坊さんでは無い人が行うのは「乞食」になります。
乞食と見なされないために、各宗派、各寺院で「托鉢許可証」を発行したり、お坊さんであるということを証明するためにお寺の名前を見えるように托鉢を行います。
私も今回托鉢を行いながら歩いて帰るということで、はがきサイズの托鉢許可証と身元保証書を永平寺で修行僧の指導する役の老師に書いてもらい、常に携帯していました。
(今回その托鉢許可証・身元保証書を載せようと思いましたが、実家にあるため載せられませんでした。すみません。)
これは私の偏見になりますので、どうかご参考程度にとどめていただきたいのですが、駅前などで行なっている托鉢している人はもしかしたら「職業托鉢」として、お坊さんでは無い人が行なっていることもあるかもしれません。
統計を取れたわけでも話を聞いたわけではないので、主観がとても強い意見です。
ただ、お布施をするということは自分の功徳を積むことになりますが、皆さんが街の中で見かける托鉢をしているような人は本当の托鉢かどうかはわかりませんので、そのあたりは慎重に行いましょう!
「托鉢をする僧に出会って戸惑ったことのある方へ、ない方へ」禅の視点-life-
すずちゃんの気持ち
とにかく一人で托鉢をするのも初めてだったのでどうしていいのかもわからず、とりあえず駅の構内で駅員さんに托鉢をしていいか聞いてみました。
斯々然々で歩いて帰っている途中なのですが、駅前で托鉢をしても大丈夫でしょうか?
えっと・・・
ちょっと確認しますのでちょっと待ってて下さい。
いや、懐かしい!
今も安達祐実はこの頃とあまり変わっていない容貌に驚きを隠せません。
余談ですが、私は安達祐実のファンです。(本当に余談)
駅員さんの返事を待っているあいだ、私の頭の中では中島みゆきの「空と君とのあいだに」が流れています。
ちなみに、先ほどの話からすると安達祐実演じる相沢すずちゃんの名セリフである「同情するなら金をくれ!」という発言は残念ながら「乞食」ということになります。
皆さんならどう思いますか?
困っている少女が金をくれ!という行為は「乞食」で、温泉とラーメンに散財してしまった煩悩の塊のお坊さんは「托鉢」とみなされることを。
しかし、そこは「法律」の規制というよりも、一人一人の「慈悲」が問われるのではないかと思います。
そのあたりも含め托鉢を行うお坊さんは許されているからやっていいではなく、本来の意味を踏まえ「托鉢」という行為がどれだけ責任とお坊さんとしての資質を求めれらるのかを考えさせられました。
数分後、駅員さんが戻ってきました。
次回予告
軽快な足取りで小松駅に辿りついた、深澤亮道。
世界最大のダンプに興奮しつつも、托鉢を行うことになりました。
しかし、駅員さんの冷ややかな目に晒され、そんな自分の姿が「家なき子」の相沢すずちゃんと重ねって見えたのでした。
今思ったのですが、次回予告って次回ができてる前提で予告しますよね。
私の場合まだ原稿ができていないので、次回予告がその通りにならないこともあります。
その辺りは是非ご容赦いただけたらと思います。
と、いうことで今回も前回予告した「松尾芭蕉が立ち寄ったお寺?」をお送りすることができませんでした。
次回は、小松駅での托鉢で起きた出来事と、「松尾芭蕉が立ち寄ったお寺?」をお送りしたいと思います!
vol.5「ダンプと托鉢と家なき子」を読んでいただきありがとうございました(^ ^)
続きはこちら↓