【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】vol.14 天険の奇跡

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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。

Contents

前回までのあらすじ

6日目、黒部市の妙覚寺を出発して5時間ほど歩き、名水の街「入善市」ヒスイの産地「朝日町」を通りいよいよ新潟県に突入です。

しかし、新潟に入るには大きな壁が立ちはだかります。

それは北陸道最大の難所「親不知、子不知海岸」

断崖絶壁の山肌を沿うように作られた道路は、車2台すれ違うギリギリの幅で、さらに歩道も作られていません。

迂回路はあるものの、遠回りになり本日中に目的地に辿り着けるかわかりません。

前回は、土地の説明多めで、この「親不知、子不知海岸」の手前までお送りしました。

前回の記事はこちら↓

バックナンバーは以下から読むことができます↓

【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】

今回は、この窮地を拍子抜けするような方法で乗り越えたお話をお送りします。

初めての告白

6日目 13:00〜

永平寺から出発して約200km。

北陸三県(福井、石川、富山)を通り、ついに新潟県まで来ました。

名前の通り、富山県と新潟県の境になっている「境川」を渡り、新潟県糸魚川市に入りました。

残り500kmの行程があるので、まだまだ序盤です。笑

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さて、ここからあと5分ほど歩けば、市振駅いちぶりえきに到着し、その先が前回から何度もお伝えしている「親不知、子不知海岸」に突入します。

 

この時の心境を今ここで初めて述べます!

正直に伝えます!

嘘偽りなく言います!

 

すみません。
私、この時電車に乗ろうとしてました。
いや、だって怖いですもん。
死にたくないですもん。

イメージ図

 

純粋に考えてみてください。

歩行者が歩くことを想定していない道路を歩くというのは、まさに自殺行為。

しかも、国道8号線は高速道路を使おうとしない大型トラックも多く走ると聞いていました。

ドライバーからしても歩行者がいると思っていないので、大変迷惑でしょう。

出発するときに私は公共交通機関を利用しないと固く心に誓いました。↓

しかし、最初の決意は何処へやら。

すみません。

ここで、初めて告白します。

このとき、本気で電車に乗ろうと思っていました。

親不知、子不知の奇跡

最初は決意を固めて出発しましたけれども、

6日間歩きっぱなしで、さらに足も痛いとなれば少しは逃げたくなるのが人間の本能なのでしょう。

誰かにこの旅のルールを伝えた訳でもないし・・・

自分の身を守るためだ・・・

と、思い電車に乗ろうと駅に向かいました。

 

そんな時です・・・

 

すいませーん!

声のする方を振り向くとそこには一台の車が停まっていました。

そこには、齢50歳半ば頃と見られる草刈民代くさかりたみよ似の女性ちょっと盛ってますが私に話しかけてきました。

この先も歩いて行かれますか?
この先の道路は危ないので、もしよかったら乗って行かれますか?

 

え・・・
本当ですか?
いいんですか?
そしたら・・・
ありがとうございます!
お言葉に甘えさせていただきます!

 

そんなことあるの?

いや、嘘でしょ?

と、思われたそこのあなた!

この流れ、本当なんです。

もちろんヒッチハイクなんてしてないですよ?

初日のリリーおじさんに引き続き、苦難の場所に差し掛かると、なぜかこのような奇跡的な出来事が起きます。

そして、ここまで「親不知・子不知」の険しさを引っ張ったのにも関わらず、こんなオチになってしまいすみません。

私は、「天険」を草刈民代似の女性(以下、草刈さん)の心優しいお布施に甘えまして、車に乗せていただくことになりました。

”YES”は人生のパスワード

すみません。
ありがとうございます。

私こういうもので、
斯く斯く然然で旅をしておりまして・・・

岩手まで!
凄いですね!
全然大丈夫ですよー!

私、富山市に住んでいるんですけど、休日とかよくドライブがてらここを通ったりするんですよ。
それで、今までも何回か旅してそうな人とか、危ないから乗せてあげたことがあるんですよ。
なるほど。
地元民でここを何度も車で通っている人の中には、過去に歩いている人を目撃した経験がおありの方も多いと思います。
草刈さんもその一人だったのでしょう。
しかし、素性もわからない人を車に乗せる勇気。
草刈さんの行動には、この「天険」を歩く危険から救ってあげたいと思うその気持ちに、大きな慈悲の心を感じました。

そうなんですね。
あのー、乗せていただいて恐縮なのですが、
親不知・子不知を超えたところまで、
お願いしたいのですが大丈夫ですか?

大丈夫ですよ!
あ、私今から無料で入れる天然の露天風呂に行こうと思っているんです。
もし、お時間あれば一緒にいかがですか?
あら?
なんか・・・
おかしな方向に進んでいっている・・・?
いや、親不知・子不知の先までと思っていたが、なんとこの後天然の無料露天風呂に行くというではありませんか。
(以下、心の声)
どうしよう・・・
正直、行きたくない。
だって、普通こんなお坊さん連れて温泉行きます?笑
ただ、乗せていただいた手前、断るのも忍びない・・・
うーん・・・
悩んでもしょうがない!
答えは一択!

はい!
行きます!
なんとこのまま長野県にある温泉まで行くことになりました!笑
この時の私の表情は、映画『イエスマン』でどんな状況でも「イエス」と言わなくてはならず、不本意ながら引きつった笑顔で「イエス」と言っているジムキャリー演じる主人公・カールと同じ表情だったのではないかと思います。

© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.Yes Man

 

離婚をきっかけに人からの誘いを全て断り「No」が口癖になっていたカール。

しかし、友人に誘われた自己啓発セミナーでどんな状況でも「Yes」と答える誓いを立てることに。

そこから彼の人生はどんどん好転していき・・・

と、実話を元に描かれたこの映画。

普段何気なくネガティブな思考に陥ってしまいがちな人にオススメの映画です!

もしご興味がある方は是非ご覧ください!

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天然無料露天風呂

「親不知・子不知海岸」を難なく(車で)超えて、糸井川市内から1時間ほど車を走らせ到着したのは、長野県のとある場所。

雨飾山の麓にある、露天風呂に到着しました。

露天風呂がある場所は標高1000mほど。

10月の下旬ですでに、うっすら紅葉が始まっており、空気がとても澄んでいます。

なんとここは源泉掛け流しの露天風呂が無料で入れるというのです!
あ、ちなみにもちろん浴槽は男女分かれていますからね?笑

そんなに大きくないお風呂でしたが、それでも大自然の中、無料で源泉掛け流しの温泉に入れるというなんとも贅沢な時間を堪能しました。

出典:雨飾荘

出典:雨飾荘

草刈さんが声をかけてくれたことも「一期一会」。
この場所に来れたのも「一期一会」です。

一つ一つの大切なご縁をいただきながら、こうして旅を続けることができているとつくづく痛感します。
そしてこの時何より感じたのは、無理をしている自分に少し一息つきなさいと仏様から言われたような気がしました。

この後、草刈さんには夕飯のとんかつもご馳走していただきました。

いただいたものは全て有り難く頂戴致します!

草刈さん、お金も無い、小汚いこんな私に本当に何から何までありがとうございました。
心より感謝申し上げます!

草刈さんには、当初の目的地である「親不知ピアパーク」ではなく、その少し先の「須沢臨海公園」まで送っていただき、お別れをしたのでした。

続く

次回予告

ここまで「天険 親不知・子不知」を引っ張っておきながら、車に乗せてもらい、しかも露天風呂まで入り、しかもしかも「とんかつ」までご馳走になった、深澤亮道。

しかし、一つ言い訳をさせていただくと、この旅はご縁をつなぐ旅であり、苦行が目的ではありません。

有り難きご縁は、仏様の導きのままに旅を続けます。

それでもこの奇跡的なタイミングの良さに助けられている事実には驚きが隠せません。

さて、次回はここ「須沢臨海公園」から「道の駅 マリンドリーム能生」を目指します。

またまた、野宿2連泊です。

次回も、お読みいただけたら嬉しいです!

「vol.14 天険の奇跡」をお読みいただきありがとうございました(^ ^)

続きはこちら↓

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