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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。
Contents
前回までのあらすじ
永平寺を出発して5日目。
富山県射水市「串田新遺跡公園」から、黒部市にある修行仲間の吉枝崇俊さんが生まれた育った「妙覚寺」までの50kmを歩いた、深澤亮道。
久々に知り合いに会いホッとしたと同時に、一足先に修行を終えて頑張っている仲間の話を聞き刺激を受けたのでした。
前回の記事はこちら↓
バックナンバーは以下から読むことができます。↓
今回は、北陸道最大の難所と言われる「天険 親不知、子不知」を通り「道の駅 親不知ピアパーク」を目指します。
ちょっと地理に関する内容が多めですが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
6日目の目的地
6日目 am8:00〜
本日の目的地は「道の駅 親不知ピアパーク」。
おおよそ32kmの行程を歩きます。
だいたい9時間歩けばつく計算なので、本日は少し遅めの出発になりました。
6日目になると、足の痛みだけではなく、リュックの重さから肩や背中も痛んできました。
最小限の荷物とはいえ、寝袋などが入っているので軽く10kgは超えていたのではないかと思います。
この重さがさらに体に負担をかけます。
いますぐにでも寝袋を投げ捨ててしまいたい衝動にかられながらも、これがなかったら睡眠を取ることができないので泣く泣くその衝動を抑え込みます。
だいたい出発してからの1〜2時間は疲れと痛みから気分が乗らないので、毎回スタート直後は愚痴を吐いていますがお許し下さい。
それでも本日の天気は快晴。
富山の綺麗な景色と晴れ晴れした空に後押しされながら、目的地である「道の駅 親不知ピアパーク」を目指します!
ヒスイの産地 朝日町
12:00〜
黒部市から歩いて4時間ほど。
国道8号線を北上、入善町を通り、朝日町までやってきました。
澄み渡る空、果てしない海!
歩いていてこれほどのロケーションはないと言うくらい、気持ちが良い景色が続きます。
ここ朝日町は富山最北端の町で、ここを超えるとついに新潟県に突入します。
そして、朝日町は何と言っても「翡翠」の産地としても有名です。
日本も古くから勾玉などで使用されてきた宝石ですが、その産地のほとんどは険しい山の中から取れるそうです。
しかし、ここ朝日町には「ヒスイ海岸」と呼ばれる世界的にも珍しい海から翡翠が打ち上がるスポットなのです。
歩いていると、いたるところに「ヒスイ」の文字が目に飛び込んできますが、今の私にヒスイを採取している余裕などありません。
いや、そもそも採取したところで、その重さに耐え切れるキャパシティを持ち合わせていなかったので、やむなくスルーさせていただきました。
綺麗な景色が続くヒスイ海岸を横目に、歩みを進めます。
もうすぐ歩けば、ついに新潟県突入です。
本来であれば、県境と言うのはテンションがかなり上がるのですが、この時は不安でいっぱいでした。
なぜならこの先に待ち受けるのは、北陸道最大の難所と言われる「天険 親不知、子不知」を通らなければならないからです。
天険 親不知、子不知
皆さんはこの地名聞いたことがありますか?
場所は、今私が歩いている富山県と新潟県の県境になります。
世にも奇妙なこの地名ですが、正式名称は「親不知子、不知海岸」と言い、新潟県「市振駅」から「青海駅」までの全長15kmの海岸の総称です。
飛騨山脈が日本海によって侵食され、高さ300メートルほどの断崖絶壁が続く海岸で、かつては北陸道最大の難所とされていたために「天下の険」また「天険」と呼ばれています。
細かく分けると、市振駅〜親不知駅を「親不知」、親不知〜青海駅を「子不知」と言います。
この地名の由来は2つあるそうです。
1、断崖絶壁と荒波が旅人の行く手を阻み、波打ち際を駆け抜ける際に「親は子を忘れ、子は親を顧みる暇がなかった」と言う説。
2、平頼盛の夫人が親不知を通りかかった際、2才の愛児をふところから取り落とし、波にさらわれてしまった。その時に悲しみのあまり詠んだ「親知らず 子はこの浦の波まくら 越路の磯の あわと消えゆく」という歌が由来になったと言う説があります。
いずれにせよ、古くからここを通る人たちは命がけで渡っていた場所だと知ることができます。
こんな地形ですから、ここを通る国道8号線は、断崖絶壁を沿うように道が作られ、また北陸自動車道は、日本で一番最初に海の上を走る高速道路としても有名になりました。
「日本の道百選」にも選ばれる場所ですが、ここの高速道路は個人的に本当にオススメしたいスポットです。
私も過去に永平寺に行く際、車で何度かここを通りましたが、海の上に道路が作られているので、本当に空を飛んでいるような感覚を覚えます。
その様子はまるで、長編アニメーション映画『時をかける少女』で、主人公・紺野真琴がタイムリープをするために「いっけええええええええーーー!!!!!」と屋上を駆け上がるシーンと同じ疾走感があります。
この紺野真琴が空高く舞い上がるシーンは、この映画を象徴する場面といっても過言ではないでしょうか。
最近、アニメネタが多くなってきた私ですが、実はそんなにアニメや漫画には詳しくありません。
しかし、細田守監督作品はそのアニメーションのよさと伏線回収の巧妙さ、そして映画に込められたメッセージ性が素晴らしくいつも観てしまいます。
是非、皆さんも『時をかける少女』をご覧の上、「親不知、子不知」の北陸自動車道を駆け抜けてみてください。
国道8号線の恐怖
この北陸自動車道は、多少カーブは多いですが、とても気持ちよく車を走らせることができます。
しかし、私は言わずもがな徒歩なので、高速道路は歩けません。笑
「親不知、子不知」を超えるには国道8号線を通るか、山を登っていく迂回路を通るかの2つの選択肢しかありません。
しかし、この山を登っていく迂回路は標高もかなり高く、車すら通らない秘境の地であり、山姥伝説が残る集落も通ります。
しかし、しかし、国道8号線を通るにも問題があります!
それはその道路の狭さです!
先ほどもお伝えしましたが、国道8号線は断崖絶壁の山肌を沿うように作られています。
歩行者が通ることは想定していないのか、歩道が作られておらず、車が2台すれ違えるギリギリの車道が続き、大型トラックが猛スピードで通り過ぎます。
過去にここを通った旅人のブログなどを見ると、必ずここでの恐怖体験が述べられています。
大型トラックとあと数センチでぶつかるところだったとか、車が来るたびに壁際に張り付いていたとか、車通りの少ない朝早い時間を狙って歩いたなどなど・・・
道路ができた今でも、旅人にとって天険に変わりはないのがここ「親不知、子不知」だったのです。
そんな情報をリサーチした上で、この道をどのように超えるかは、旅を始める前から、頭を悩ませていました。
結局、答えは出ないまま、歩みを進めてきて、ついに目と鼻の先まで来てしました。
続く
次回予告
大型トラックや車が猛スピードで走り抜ける、恐怖の国道8号線をそのまま歩くか。
はたまた、山姥伝説が残る山道を歩くか。
もしくは、公共交通機関は使わないと決めていましたが、命の安全を優先して、やむなく電車を使うのか。
深澤亮道はこの危機をどう乗り越えたのでしょうか・・・
次回は、この「親不知、子不知」越えのお話をお送りします。
「vol.13 いっけえええ!!」をお読みいただきありがとうございました(^ ^)
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