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vol.4を迎えた広島旅行記。
前回は2日目、宮島の様子をお伝えしました。
今回は、前回触れられなかった宮島で学んだことをご紹介し、帰路につきます。
Contents
宮島の信仰と浄と穢(え)
前回登場した古民家アンティークショップの女性店主さんとのお話の中で、とても興味深いお話がありました。
それは、宮島ではお産とお葬式を行うことができないというお話です。
すでにご紹介した通り、宮島は「神の島」と呼ばれ、土地そのものが信仰の対象となってきました。
神々の住む島のその土地に杭を打つのも恐れ多いということで、海の上に厳島神社が建てられたほどです。
こうした、日本の「神」に対する信仰を持つ神道では、「浄と穢」というものが非常に重視されます。
浄というのは清らかさのことであり、神事に関わる人にはこれが求められます。
一方で穢というのはケガレのことで、これを持つ人は神事や、その土地に足を踏み入れることが許されませんでした。
ではこのケガレがどのようなものかというと、代表的なものが死と血です。
お葬式も、お産もこの穢にあたるというところから、宮島では行われることがないそうです。
おそらく、食肉加工や狩り、手術なども行われることがなかったと考えられます。
実は根付いている浄と穢
この話を聞くと、「そんなことがあるのか!」と驚かれる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実はこの浄と穢の観念は、私たち日本人の生活習慣に深く根付いています。
例えば、お葬式で「清め塩」をもらうことがありませんか?
この塩で清めようとしているのがまさに死の「穢」なのです。
死に関係したものを遠ざけたいという日本人の感覚は、潜在意識の中に積み重ねられてきた「浄と穢」の観念によって生まれたと考えて良いでしょう。
ちなみにまだ日本の仏教が民間に広まる以前、国を護ることが仏教の目的とされた時代には、僧侶がお葬式をすることも、黒い服を着ることもありませんでした。
それは神道の観念を柱とする朝廷に死という穢を持ち込むことが許されなかったからです。
さらには、それは食事にまでおよびます。
神事に関わる人は、大切な行事の前には穢である肉魚を食べることや性行為を断つ「精進(そうじ)」を行いました。
勘の良い方はお気づきかもしれませんが、実はこの「浄と穢」の観念は日本の精進料理の成立にまで大きく影響しているのです。
もちろんこれだけが精進料理成立の理由ではありませんが、穢を遠ざけるという風習は日本人の衣食住に様々な影響を及ぼし、文化や差別などを生むきっかけにもなっていったのです。
今回宮島に行き、土地そのものが信仰の対象となっている島の、厳かなで神秘的な空気を味わい話を聞くことで、今も日本人の根底に残る信仰の源をすごくリアルに感じることができました。
三日目
さて、帰路につく三日目ですが、この日はいよいよ本格的にノープラン(笑)
一応、広島駅で尾道ラーメンのお店と、地魚を扱った回転寿司屋さんに行くことだけは決定。
とりあえず食べ過ぎない程度にホテルの朝食をいただき、広島駅方面に向かうことに。
その道中、なぜか足がスニーカーショップの方向へ。
実はこの日、欲しかったスニーカーの発売日で、すでにネットでは購入失敗、東京でもおそらく即完売が予想されていました。
そこで、一応確認の為お店の前を通ると、ほとんど並んでいないではありませんか!
ということで6番目に並び、一時間ほど待って購入してしまいました。笑
荷物になるのでスニーカーはコンビニで家に発送し、再び広島駅を目指します。
スニーカーとのバランスを取る為(←どういうこと)広島駅までは歩くことに。
タリーズコーヒーの瀬戸内限定メニューを飲みながら歩くこと40分ほどで広島駅に到着です。
尾道ラーメン
駅についたら12時前だったので、お昼ご飯を食べることに。
駅ビルに入っている尾道ラーメンのお店「三公」さんへ。
ほとんど行列もなく、すんなり店内へ通され、待つこと数分、きました!
尾道ラーメン!
醤油ベースに背脂が乗っている感じは、京都系のラーメンに近いかもしれません。
特徴は別盛りで出されるネギを好みの食感に合わせて三回に分けて入れるというシステム。
つまり、熱々のうちに入れるとしんなり、やや熱で入れると軽くしんなり、ぬるくなってからだとしゃきしゃき、といった具合のようです。
早速いただきます!
スープを一口飲むと、あっさりとしつつ背脂のコクもあって美味しい。
そしてシステムにしたがって、まずは少なめにネギを投入。
面と一緒にいただくとほどよくしんなり&しゃきしゃきのネギが相まってこれまた美味しい!
中太?のストレート麺がいいですね!
残りのネギも一気に入れて、あっという間に完食。
ごちそうさまでした!
呉へ
次の行き先はどうしたものかと考えていましたが、広島駅から電車で30分ほどの呉市に行くことに。
海上自衛隊の基地がある呉は、駅を出てすぐに巨大な潜水艦や戦艦大和のミュージアムなどがあります。
昨年の豪雨被害があった時、禅活メンバー深澤がボランティアに行った話を聞いてたので、現在の様子を見に行くつもりでしたが、駅前の市街地にはあまり被害の跡は見えませんでした。
ただし山間部の、特に家を失われた方などは今も復興の最中のようです。
さて、こうして呉に来たものの、移動手段もなければお昼ご飯も済んでいる、さらに時間も限られているということで、駅周辺をフラフラして広島駅に戻ることにしました。
また計画を立ててゆっくりと来たいと思います!
回転寿司
広島駅に戻ると、時間は15時頃。
帰りの飛行機のことも考えると17時には空港行きのバスに乗るとして、ちょうどいい頃合いだなと。
初日に広島駅に着いた時から気になっていた回転寿司「すし辰」さんへ!
瀬戸内海で獲れる地魚を中心に扱っています。
まずはこちら、蒸しガキ!
美味しい!!
そしてこれは初めての生穴子!
焼きとは違った歯ごたえのある身が美味しい!
と、写真を撮るような冷静さはここで終了。
魚も貝も新鮮で美味しくて、いつの間にか皿の塔を建てていました。
早めの晩ごはんということで。
ごちそうさまでした!!!
帰路
「すし辰」さんを出ると時間はだいたい16時。
少し早いですがバスで空港に向かいます。
この旅の途中でアマゾンプライムの海外ドラマにハマってしまい、そのおかげであらゆる移動・待ち時間が苦になりません。
バスに乗って45分、広島空港に到着です。
LCCの春秋航空は出発90分前からチェックイン開始なので、それまでは時間を潰して、無事チェックイン&搭乗&出発!
行きと同じ90分の空の旅は海外ドラマ1.5話分、あっという間に成田空港に到着しました。
京成線に乗り込み、揺られていると、途中から花火大会で疲れ果てた浴衣姿の方々が乗って来られました。
その光景がなんとなく、お盆の前のわずかな夏休みの終わりを感じさせてくれたのでした。
一人旅を振り返って
今回の広島一人旅は、自分の行ってみたいところに、自分の好きな手段・日程で行ってみようという思いつきと、一人だからこその現地の人との交流や自分の振り返りがテーマだったような気がします。
行く前はなんとなく一人旅をしてみようという考えだったのですが、現地を歩いているうちに自分が求めていたものがわかったという感じです。
今、この時代のこの時期に広島行けたことは、私にとってすごく意義がありました。
過酷な社会環境の中で生き抜く術として編み出されたであろうホルモン天ぷらやせんじがらを味わえたこと。
74年前、あの場所で起きたことを、本や画面からではなく、そこで感じることができたこと。
日本に深く根付く土地への信仰や、その信仰を守る中で生まれた概念、そしてその結果今も残る厳かな空間。
あらゆる食べ物、経験、人々が、私の世界をまた少し広げてくれました。
この世界の全てを見ることなんてまずできないにしても、少しでも広い世界に想いを馳せることのできる僧侶になりたいと改めて思うのでした。
次はどこに行こうかなあ。
広島旅行記〜はじめての一人旅〜
おわり