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早いもので2021年も年末となりました。
忘年会などの年末の催し事も戻りつつあるとはいえ、まだまだ元通りとはいえないでしょう。
そんな中で行われた私の年末の楽しみが、漫才の日本一を決める大会、M-1グランプリの決勝戦です。
今年は私の激推しのアルコ&ピースがラストイヤーにして3年振りの出場、
敗者復活からの決勝進出を狙っていたこともあり、とても楽しみにしていました。
結果としては、ベテランの錦鯉が優勝を果たすという形で大会は幕を閉じました。
そんな中、優勝こそしなかったものの、私がすごく面白いと思ったコンビがあります。
コンビ名は「ロングコートダディ」。
この二人のネタがとても面白く、さらには仏教的じゃないか!とすら思ったので、
今回はそのネタが仏教的に素晴らしいその理由をお話しします。
Contents
「生まれ変わり」のネタ
ロングコートダディは2009年結成の吉本興業所属のコンビです。
ボケの堂前透さんは1990年生まれで福井県出身。
ツッコミの兎さんは1988年生まれの岡山県出身。
2019年にはキングオブコントとM-1グランプリの両方で準決勝進出。
翌年2020年にはキングオブコントで決勝進出を果たし、
今年2021年のM-1グランプリで決勝進出を果たした実力者です。
そんなお二人が今回披露したのは「生まれ変わり」をテーマにしたネタ。
まずは一度こちらの動画をご覧ください。
「生まれ変わったらワニになりたい」という兎さんに対し、
生まれ変わる時に訪れる選択の練習をするというこのネタ。
実は、非常に仏教的な意味合いでこじつ…解釈することができるのです。
その理由を3つのポイントから見ていきましょう。
「肉うどんもいのち」という発想
ワニに生まれ変わりたいという兎さんに天界が授ける生まれ変わり先はなんと「肉うどん」。
人間でも動物でも植物でもなく、料理名が出てきたという意外性につい笑ってしまいますが、
実はこれがすごく重要な視点です。
曹洞宗では、仏性という観点から、この世界の存在は全て「仏のいのち」であると捉えます。
薪というのは死んだ木ではなく薪であり、灰は燃えた薪ではなく灰として、
その瞬間その瞬間が、いのちとして存在しているのです。
そう考えると出汁とうどんと肉が合わさった肉うどんも、肉うどんといういのちなのです。
これが食の教えを捉える上で非常に重要で、
私たちは死んだ動物や植物を、死んだ木や石の器に盛って食べているのではありません。
その食事という形で現れているいのちを口にしているのです。
そう考えたなら、肉うどんを一つのいのちとして生まれ変わり先と捉えているのは、
とても仏教的といえるでしょう。
「肉うどんとしての天寿を全うする」という表現
そして、肉うどんを一つのいのちとして捉えた上でさらに重要な表現が出てきます。
それは、「肉うどんとしての天寿を全うしなければ次の生まれ変わりはできない」というもの。
肉うどんに生まれ変わったら、お店で食べれられることで天寿を全うし、また次の生を受ける。
これは、食べ物という形で生まれた肉うどんといういのちが、
食べれられるという食べ物としての働きを全うすることで次の生命につながるという見方ができます。
それは、不殺生を「仏のいのちをつぐことである」という曹洞宗の戒の受け止め方とも重なるのではないでしょうか。
食べ物は食べることで食べ物としての働きが、道具は使うことで道具としての働きが現れることで、
そのいのちがつがれていく。
そう考えると、この「肉うどんとしての天寿を全うする」ことで次の生を受けるという表現はなかなか深いものです。
生は思い通りにならないという大前提
この漫才は、なんとかしてワニに生まれ変わりたいツッコミの兎さんが、
生まれ変わるものがしりとりになっている法則や2文字タイムというチャンスを活かしながら、
天界で試行錯誤を繰り返します。
しかし結局思い通りならず、最終的には45万km走るワゴンRという、
寿命の長い生を受けてネタは終わります。
もちろん、曹洞宗からみればワゴンRも仏のいのちであることは言うまでもありません。
そしてここで語られているのは、
どれだけ策や思考を弄しても生まれるということは決して思い通りにならないという、
仏教の大前提なのではないかと私は思います。
このブログで度々触れてきたように、仏教ではこの世の思い通りにならないことを苦という言葉で表します。
その中でも生老病死は四苦と呼ばれ、生まれ、老い、病を患い、死ぬということは思い通りにならない、
というのが仏教の根底にある世界の捉え方です。
この、生まれるということは思い通りにならないという大前提が、
意図的にワニに生まれ変わろすることによって表現されているとしたら…。
このネタ、深すぎます。
まとめ
今回はロングコートダディのお二人のネタを、仏教的解釈によってご紹介しました。
お二人のネタは、M-1の前に「しくじり先生」という番組でも拝見し、
目の付け所が非常に面白いなと思っていたところでした。
ぜひこちらのネタもご覧ください。
おそらくお二人は仏教のことなど考えていらっしゃらないと思いますので、
これは私なりのネタとして受け取っていただければ幸いです。