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本や歌詞など、出どころは問わず僧侶が”グッ”ときた言葉を紹介するこちらのコラム。

前回は随分前になりますが、WANDSの「世界が終わるまでは…」の歌詞をご紹介しました。

最近再結成したようで、嬉しいかぎりです。

今回は2010年FIFAワールドカップのテーマソングとなったWavin' Flag」という曲の歌詞をご紹介します。

ソマリアに生まれたラッパー

今回ご紹介する「Wavin' Flag」を歌うのは、カナダで活動するK'naan(ケイナーン)というラッパーです。

現在カナダで活動する彼は、1978年に東アフリカのソマリアという国で生まれました。

ソマリアは1991年からの内戦で多くの難民を出した上、干ばつによる飢餓で非常に多くの命が失われ、いまだに安定したとはいえない国です。

また、ソマリアは海に面しているものの、加工技術の無さから海産物の輸出を行えず、生活に困った漁師たちはが海賊になってしまいました。

そこでその海賊に海産物の加工技術を伝えることで漁師として生計を立てさせたのが、すしざんまいの社長・木村清さんだそうです。

さて、そんな国に生まれたK'naanは、内戦が激化する中、13歳の時に母と二人で出稼ぎの父が働くアメリカへ亡命することになります。

しかしその時、経済的に余裕がなかったため、兄弟同然で育った、他に身よりが無い従兄弟や仲間たちとの別れを迫られるのです。

彼はその時の様子について、インタビューでこのように語っています。

曲の中でも歌っているけど、とても仲良しの従兄弟がいた。あいつの母親は出産中に死んでしまったんだ。だから彼を養子に迎えて、僕らと一緒に暮らすことになった。もう僕の兄弟同然さ。一緒に生活して、一緒に大きくなって、一緒に食事をして……で、ある日僕の家族は国を出るチャンスをもらった。だけど母親が買える航空券は限られている。僕の分を買うか、従兄弟の分を買うか……あの曲はその瞬間について歌ってる。母親が、従兄弟にその知らせを告げる瞬間。『お前だけが国に残らなくちゃいけない』ってね。(※太字は筆者が編集)

そして彼はインタビューで、自分が乗ったその便がソマリアを出る最後の便であったと語っているそうです。

Wavin' Flagとワールドカップ

K'naanはアメリカへ亡命した後、カナダに移るとラップを通してソマリアの状況や、平和へのメッセージを訴えかけるようになります。

今回ご紹介する「Wavin' Flag」は、2010年のワールドカップ公式ソングになりましたが、その内容はただ希望に燃える歌というようなものではありません。

Born to a throne, stronger than Rome,(ローマ帝国より強力な王の下に生まれた)
but violent prone, poor people zone(しかしそこは暴力がはびこる貧しい国)
But it's my home, all I have known(ただしそれが俺の故郷、俺が知るすべてだ)

Wavin' Flag 歌詞私訳

暴力や貧困に苦しむ人々がいるその現状を訴えた歌詞は、ワールドカップのスポンサーであるコカコーラ社の要望で一部を書き換えることとなり、当時のCMで流れたのはCoca-Cola Celebration Mixというバージョンでした。

Oh~oh~oh~oh ohの部分に聴き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

風にはためく旗のように

さてそんなWavin' Flagの歌詞から、今回私が"グッ"ときたのはサビのこの部分

When I get older , I will be stornger.
(ぼくは年をとって、強くなる)

They'll call me freedom, just like waving flag.
(みんながぼくを自由だというだろう、あのはためく旗のように)

Wavin' Flag 歌詞私訳

この歌詞は原曲、コカコーラバージョン共に共通している部分です。

日本人は、40歳を不惑と言ったり、一家の主を大黒柱と表現してきたように、成長したり強くなるということを、揺るがないこと・動じないこととイメージしやすい傾向にあります。

しかし、K'naanはソマリアで生まれて経験した壮絶な出来事を経た上で、「強さ」をはためく旗のような自由さとして表現したのです。

思えば、これは坐禅と通ずるのかもしれません。

坐禅とは微動だにしないことでも、心を張り詰めることでもありません。

今生きているこの地に足をつけ、どれだけ揺れ動いても最後は真ん中に帰ってくるの身心の在り方が坐禅です。

逆に、頑なに張った、張り詰めすぎた緊張は、一度切れれば元に戻ることはできません。

地震に強い家の基礎は研究の末、動じない堅固な造りではなく、揺れに合わせて動く造りに辿り着きました。

揺れないこと、動じないことが強さではなかったのです。

揺れないのではなく、揺れながら自分の在り方を問い続け、常に変化を受け入れて最善を生きること、これがK'naanが気づいた強さだったのかもしれません。

 

(「Wavin' Flag 」原曲)

参考記事

ソマリア人ラッパーが歌ったW杯(Newsweek)

すしざんまい社長が、あの「海賊壊滅作戦」の真相を語った!(現代ビジネス)

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