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ヘビーユーザーの皆様はご存知の通り、禅活は坐禅・食・作務を柱として「禅を活かして、ちょっといい1日を」というコンセプトで活動しています。
その中でも禅宗寺院の維持・運営のために行う労働である作務は、実は「お寺の」という範囲に限定されやすく、かなり狭義に捉えられがちです。
そこで、禅活では「お寺の庭掃除だけが作務ではない」ということを広めるべく、ハロウィンゴミ拾い作務なども実施してきました。
そしてこの度、新たな作務を開始しましたので、その経緯と様子をご紹介させていただきます。
Contents
宗務庁から呼び出し
去る昨年12月。
曹洞宗総合研究センターの研究生である禅活メンバー久保田・深澤・西田は副主任の先生に声をかけられました。
聞けば
「宗務庁の方が話を聞かせて欲しいと言っている」とのこと。
宗務庁とは曹洞宗の行政機関で、僧侶と寺院を取りまとめる総合研究センターの上の組織です。
(ちなみに本田は今年度から宗務庁の職員。)
つまり、任意団体である禅活に、お上が話をきかせてほしいと。
中学一年生の時に三年生から呼び出し、いや高校一年生から呼び出された気分です。
どっちだ!?良い話なの!?悪い話なの!?
映画「典座-TENZO-」のレビューを書いたのがまずかったのか!?
と慌てていると、何やら宗務庁の広報担当の方々が、広報活動に協力してほしい、という超ポジティブなお話でした!
そして某日、会議室に集まり、私たちがこれまで行ってきた活動をご紹介すると、とても好感触。
曹洞宗を広く認知してもらう活動ができるなら、是非協力させて欲しい、とのお言葉をいただきました。
人混みに潜む僧侶
そこで、私たちは思ったことがあります。
そもそもこの周辺で曹洞宗が認知されていないのでは?ということ。
曹洞宗宗務庁・曹洞宗総合研究センターがある東京都港区芝は、修行道場並に曹洞宗の僧侶が密集しているエリアです。
周囲には会社や商店がたくさんあるこのエリアで働く方々にとって、どれくらい私たちは曹洞宗の僧侶とされているのか…。
浸透していないと考えられるのには理由があります。
一つは、すぐ近くに浄土宗鎮西派の大本山、増上寺があること。
そしてもう一つが、曹洞宗の僧侶の出で立ちです。
何度かお見せしたことがあるかもしれませんが、宗務庁・総合研究センターの職員はスーツで業務・研究にあたります。
なので、この近辺はスキンヘッドスーツが多い地域、もしくは増上寺関係っぽいお坊さんがいっぱいいるエリア、程度にしか思われない可能性が大なのです。
作すべき務めとは
そこで、まずは普段業務・研究という名の修行をしている、いやさせていただいている地域の環境を整え、貢献することが必須なのではないか、そう思い至りました。
港区芝という地域で僧侶として生きるうえで、環境美化を行うことは、お寺の掃除をするのと同じことなのです!
そこで、私たちは大きな広報活動の意味も含めて、地域の環境美化活動としてゴミ拾いを提案しました。
作務という修行で地域の環境を整え、それによって周囲にも曹洞宗の僧侶がいることを認知してもらえる、そんなゴミ拾い作務の企画はとんとん拍子に実現へと向かって行きました。
今回課題となったのは、
①拾ったゴミの処分方法
②環境に配慮し、使い回せるゴミ袋を用意する事
でした。
①については曹洞宗宗務庁のゴミ集積所に引き取っていただくことが可能になり、②も様々な手法を考えた結果ガーデンバッグという落ち葉集めに使用する袋を使用することになりました。
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ゴミ拾い作務開始
そして、2月14日AM8:00、禅活メンバー+宗務庁広報課の上田さんの4名で第一回目のゴミ拾い作務の日を迎えました。
ゴミ拾いをすると行っても、ハロウィンの渋谷とは違って比較的掃除が行き届いている地域です。
あまりゴミは無いことを想定し、総合研究センターの周辺の大通りを中心に1.6kmのルートを設定しました。
当日の様子
7:50、いつもより二時間早く総合研究センターにきた久保田、深澤、西田はスーツから作務会に着替え、上田さんと合流、出発です!
やはりアスファルトの上、人が歩く範囲には大きなゴミはなく、時々タバコの吸い殻や紙屑がある程度。
ガーデンバッグがスカスカのまま帰ることになるなあと、心なしか残念に思いながら(良い事なのに)、大通りへと進みます。
するとやはり、アスファルトにはゴミは落ちていません。
そう、アスファルトには、ね。
普段見ることのない、街路樹の根元を覗いてみると、なかなかの量のゴミが落ちていました。
菓子パンなどのビニールや、マスク、缶、ビン、ペットボトル、そして吸い殻などなど…。
予想を大きく上回る量のゴミと遭遇し、なかなかルートを進むことができません。
そして第一京浜という大通りの交差点に差し掛かった時、この日一番のゴミスポットと遭遇します。
信号待ちの長い交差点だからなのか、飲み物や食べ物のゴミが多く見られます。
中にはバイクのマフラーという、粗大ゴミまで落ちていたりもしました。
8:45、結局この日は当初予定していたこのルートに対して
4分の1程度しか周ることができませんでした。
ゴミの量は100L入るガーデンバッグ一つがいっぱいになるくらいあり、この作務が思っていた以上に重要なものであることに気づかされました。
ゴミの分別等は曹洞宗宗務庁が運営する東京グランドホテルのゴミ集積所にて、従業員さんのお力を借りあがら行いました。
2回目の様子
それから二週間後、2月28日(金)に、2度目のゴミ拾い作務を実施しました。
この日は前回からゴミがどのくらい増えたかを見るべく、同じルートを周ります。
すると、それなりにゴミはあるものの、やはり初回ほどはありません。
つまり、1日にゴミが捨てられる量自体はそこまでひどくないということです。
ところが、少しルートを伸ばし、前回は拾っていないエリアに差し掛かると、ゴミの量が一気に増えました。
落ちていて一番驚いたのは郵便受けでした。
この作務は1回に1つ粗大ゴミがあるシステムなのでしょうか…。
さすがにこれは拾えませんでした。
前回拾っていない場所にゴミが多いのは当然ではありますが、ゴミはゴミを呼ぶのかもしれません。
ここに捨ててあるから自分もいいだろう、そんなゴミを捨てる人の気持ちが見えてきます。
ゴミ拾い作務、本格始動
他に捨てている人がいるから自分もいいだろう。
ということは逆に、ゴミが無いところにはゴミを捨てにくいということでもあります。
2月に行った2回のゴミ拾い作務では、ゴミが捨てられやすい2つの場所があることがわかりました。
一つは大通りの交差点。
信号待ちをしている自動車、歩行者がそこで飲食を終えたもの、処理に困ったゴミがそこで捨てられるようです。
もう一つは、コンビニの周辺です。
コンビニの前の歩道の目立つところは、お店にとっても迷惑なので掃除されるようですが、どうやら植え込みがあるとそこに捨てられる傾向があるようです。
路面にゴミ箱や灰皿がないコンビニではこの様子が顕著で、パン・おにぎり・ホットスナック類といった手軽な食べ物のゴミや吸い殻がたくさん落ちていました。
その他に駐輪されやすい場所の周辺には、警告のシールがたくさん落ちていました。
防犯登録を管理しているなら、直接本人に送ったらいいんのでは…。
今回、曹洞宗の広報という以外なきっかけから始まったこのゴミ拾い作務ですが、禅活としては以前からゴミの処分方法さえ手配できれば実施したいと考えていました。
まずは普段私たちが活動している港区芝での作務を皮切りに、様々な場所で実施できればと考えています。
また、この活動にご賛同いただける方は、僧侶・一般を問わずぜひお声かけください。
どこか離れた場所での実施も、状況次第では考えています。
生活は暮らす場所と環境あってのものです。
だからこそ、自分が住む地域、住む国、住む星の環境を整えていく。
それはゴミ拾いに限らず、家事や仕事もでも言えることです。
自分が作すべき務めを、作すべき在り方で務めた時、それは作務という修行になるのです
そんな大きな意味での作務の在り方を、今後も禅活では模索し、発信していきます。