続・野生動物への餌付けの話

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前回、境内にパンを咥えて現れたキツネを見て、

こちらの記事を書きました。

あれからおよそ3週間、相も変わらずお寺の近くをウロチョロするキタキツネ

夕方になれば、誰かが与えたと思われるエサを咥えてやってくるのですが……

つい先日、大きな異変が起きていることに気が付きました。

Contents

うそ!境内がキツネの縄張りに!?

ある日のこと、いつものようにエサを咥えてお寺の境内に現れたキタキツネ。

(またパン咥えてるよ…)

明らかに人間が与えたと思われるパンを口にしています。

(いい加減にしてくれないかなあ)

と思うのも束の間、次にキツネがした行動に私は目を疑いました。

なんとキツネは、その場で穴を掘って咥えているパンを埋め始めたのです!

後で聞いたところによると、これはキツネの習性の一つだそうです。

キツネはエサを一旦地面に埋めて、掘り返して食べる動物なのだとか。

おそらく、藪の中や草むらに比べてお寺の庭の土は掘りやすいのでしょう。

 

いつの間にか、お寺の庭はキツネの縄張りにされつつありました!

 

このようなことを許していては、庭が穴だらけになってしまいます。

もちろんキツネが残していくも大変な迷惑。

本格的にキツネ対策が必要だなあ、と考えていた矢先、

私の目に飛び込んできたのはさらに驚くべき光景でした。

仁義なきバトル、勃発!

穴を掘り、食べ物を埋めようとするキツネ。

困惑しながらそれを見ている私。

そこに新たなる勢力現れました

それは……

 

カラス!

上空からカラスがキツネに飛び掛かり、エサのパンを奪おうとしているのです!

慌ててパンを咥え、その場から飛びのくキツネ。

両者の睨み合いが始まります。

隙を見てパンを奪おうとするカラス。

奪われまいと身をかがめ、じっと睨みつけるキツネ。

お互いに飛び掛かるフリをしたり、牽制を繰り返しながら、緊張感のある時間が流れていきます。

……果たしてこの戦いの結末はどうなるんだ!

と、思ったところで、実にあっけなく決着はつきました。

カラスがエサをあきらめその場から去っていってしまったのです。

その後、竹竿を持って勝者のキツネを容赦なく追い払い、この日の戦いは幕を閉じました。

勝者:久保田(1R・竹竿振り回し)

戦いの引き金は……

それからというもの、人間の与えたエサをめぐるカラスとキツネの争いは頻繁に繰り返されるようになりました。

鳥類の中でも非常に頭が良いと言われるカラス。

恐らくキツネが毎度、誰かからエサを貰っていることを学習したのでしょう。

そのエサを狙っているのです。

ここ最近は夕方くらいになると、

「グギャーーーー!」

「カァー!カァー!カァー!」

と、キツネとカラスが争っている声が窓から聞こえてきます。(うるさい)

騒音の被害はともかくとして、日々繰り返される争いは間違いなく人間の餌付けによって引き起こされたもの。

この出来事は自然界のバランスと人間の営みの関係を如実に表しているのではないかと思います。

自然に対する干渉の影響力

キツネはもともと、野ネズミや子ウサギを捕食する肉食性の獣。

エサを確保するのも偶然性が強く、本来カラスがキツネのエサを狙うということは稀なことだと思います。

しかしそこに、人間による餌付けというイレギュラーが混ざることで、

本来、自然界に起きるはずのなかった争いが招かれてしまったと見るべきでしょう。

前々回の記事のまとめでは、

私たちの行為は影響力を持ち、その影響力は往々にして自分が想定しているそれよりも大きく広がっていく、というお話をしました。

今回、キツネとカラスの間に争いが生まれてしまったのも、

人間による餌付けという行為が何度も繰り返され、その影響力が広がった結果です。

恐らく餌付けをしている人は、善意からその行為を繰り返しているのでしょう。

キツネとカラスの争いを招こうなどという意図はかけらもないはずです。

しかし、事態は本人の手を離れ、自然界のバランスにまで影響を与えかねないまでに進行しています。

この後、ひょっとしたらキツネは狩りを覚えられずに、餌付けが途絶えると同時にエサを取れなくなるかもしれません。

そしてエサが取れないキツネが増えれば、本来捕食されるはずだった野ネズミが増え、

作物の被害や、人間の生活にも影響が出るようになるかもしれません。(大げさかも)

仏教の縁起という物事の見方は、その縁によってどのようなことが起きるか、と考えることで見通しを立てたり、予測をするものでもあります。

餌付けをしようという気持ちもわからなくはありませんが、それによってどのような結果が引き起こされるのか、という視点が必要なのかもしれません。

今後、自然とどうかかわりあっていくか、というテーマはますます重みを増してくることでしょう。

安易な干渉が自然環境に大きな影響を与えるという実例を目の当たりにし、

私自身、自然に対する向き合い方をあらためて考えさせられました。

ところで……

カラスさんも、お寺の境内でをしていくのはやめてくれませんか(泣)

 

続きます↓

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