メジャーリーグのMVP論争をガチで考察してみた

MLBのレギュラーシーズン全試合が終了しました。

私も一野球ファンとして、

大谷翔平選手の投打にわたる活躍を毎日楽しみにしてきました。(なおエ……)

 

大谷選手の活躍は華々しく、

現代野球では不可能と思われてきた数々の記録を塗り替え、

また選手としての影響力からMLBのルールさえ変えてしまいました。

○○選手以上!

△△選手以来!

史上初!

といった枕詞が頭につく、様々な記録を樹立してきましたが、

何と言っても今年達成されたもっとも驚くべき記録は、

 

W規定到達

 

これに尽きるでしょう。

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投手としての規定投球イニング数と、

打者としての規定打席数を、

1シーズンで両方達成(しかもエース級&主砲級の成績を残しながら!)してしまいました。

 

投打両方で試合に出続けることによる

ケガのリスク増大や疲労の蓄積、調整の難しさ……

ちょっと考えただけでも「無理でしょ」と言ってしまいたくなります。

 

これまでにも、数多の驚くべき記録を達成し、

野球ファンの度肝を抜いてきた大谷選手ですが、

さすがにここまでの活躍を予想できた人は少なかったのではないでしょうか。

 

まさに前人未到の成績を残した大谷選手。

最高の栄誉とされるMVPを2年連続で獲得するのは間違いなし!

……と言いたいところですが、

実は今年のMVPの最有力候補は大谷選手ではないようです。

 

その選手とは、

年間62本のホームランを放ち、MLBのシーズンホームラン記録を塗り替え、

ホームラン王、打点王の二冠を手にした、

ニューヨーク・ヤンキースに所属するアーロン・ジャッジ選手です。

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そして今現在、ネットや様々なメディア上では、

この2人のうちどちらがよりMVPにふさわしいか、という論争が巻き起こっています

今回の記事はこの白熱するMVP論争について、禅活の野球好き好きおじさんことちしょーが私見を述べていきたいと思います。

(※今回は趣味全開の野球記事!仏教のことは1ミリも書いてません。)

Contents

MVPにふさわしいのは……?

最初に私の結論から申しますと、

この2人のうちMVPにふさわしいのは……

 

デレデレデレデレデレデレ…………(ドラムロール)

 

デン!

 

アーロンジャッジ選手だと私は思います!

 

「ええ~、なんだよ、ジャッジ派かよ~?」

「大谷選手が成し遂げたことの価値をわかってないんじゃないの?」

 

と、思われた方も大変多いことと存じますが、ブラウザバックはもう少々お待ちいただきたい。

MVPはジャッジ選手、と私が言うのは、

最高の賞とされるMVPですら、大谷選手を称えるに適切でないという考えからです。

MVPの「V」→価値はどこからくる?

そもそもMVPとは、

”Most Valuable Player”の略称です。

直訳すれば「もっとも価値のある選手」です。

 

では、ここでいう「価値」の本質とは何か。

 

それは「同シーズンの他の選手と比べた場合の価値」です。

 

ジャッジ選手のホームラン数記録は、

「数十年にわたりメジャーの名だたるバッターがシーズンを過ごしてきた中で、打ち破ることができなかった記録」です。(ステロイドの時代を除いて)

さらに言えば「ボールの変更によって昨年より飛距離が出なくなり」、「他の選手のホームラン数が軒並み減少した」中での達成です。

 

対して、大谷選手のW規定到達は、

「これまで誰も達成できず、挑戦者すら現れなかった記録」です。

その記録の価値は、これまでの常識や統計ではかり知ることはできないものだと思います。

 

つまり、記録の価値をもって両者を比較しようとした場合、

ジャッジ選手のホームラン記録は相対的な価値に優れた記録であり、

大谷選手のW規定到達は絶対的な価値を持った記録であることから、

そもそも比べて論ずることができないのではないかと思います。

 

「ジャッジ選手は凄い!」

「大谷選手も絶対凄い!めちゃくちゃ凄い!」

 

でも、

 

「大谷選手がどれくらいめちゃくちゃ凄いかはわからない!」

 

ので、

 

「どちらがより凄いかなんてわからない!」

 

というわけです。

どちらがより優れた選手なのか?

成績や記録ではなく、単純に「どちらがより優れた選手であるか」を比較してMVPを決めようとした場合はどうでしょうか。

 

メジャーリーグでは選手の能力を評価するにあたり、

セイバーメトリクスという分析手法が重んじられています。

その手法で算出される「OPS」や「WAR」、「K/BB」といった数々の数値もジャッジ選手と大谷選手の傑出度を如実に示しています。

特に両者の比較で用いられる「WAR」という数値においては、

ジャッジ選手が10.6

大谷選手が9.6

と、異次元の数値を叩きだしています。(3位は7.2)

[WAR:打撃や走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標。Wins Above Replacementの略。控えレベルの選手と比べ、どれだけチームの勝利数に貢献できたかを示し、補正を加えることでポジションに関係なく、選手の能力値を比較できる。](引用元:読売新聞オンライン「球界トレンド WAR」

 

セイバーメトリクスは選手の能力を評価するのに有用で優れた指標だと思いますが、

一方で、WARをはじめ算出される各数値には、

・選手の全能力が十分に考慮されているとは言い難い

・打者に比べて投手の貢献度が評価されづらい

・採用する指標によって選手の評価が左右される

など、いくつかの問題点も指摘されています。

 

特に、大谷選手のような「二刀流選手」を評価するにあたり、

現在のセイバーメトリクスが十分な働きをするかどうかは未知数であろうと思います。

 

何せ、大谷選手以外に「二刀流選手」がほぼ存在しない状況です。

統計的な手法を用いて大谷選手の価値を見出そうとしても、

比較対象として適当なサンプルが、大谷選手本人以外に存在しないのです。

今現在、「投手としてのWAR」と「打者としてのWAR」を足したものが、

「大谷選手のWAR」とされていますが、

これはあくまで暫定的な措置と捉えるべきだと思います。

 

先ほど挙げたWARは「同ポジションの代替可能な選手(控えレベルの選手)に比べてどの程度勝利に貢献したか」を示す数値ですが、

「同ポジションの代替可能な選手」が存在しない大谷選手の能力を、WARを用いて評価するのは難しいのではないでしょうか。

 

もちろん、両者がともに優れた選手であり、他の追随を許さないほどの成績を上げたことは疑いようがありません。

しかし、セイバーメトリクスによる分析でも、ジャッジ選手と大谷選手を比べて「どちらがより優れているか」を論ずることはできないように思います。

もうどっちもMVPでいい、欲を言えば……

これまでに述べた通り、どちらもMVP選出にふさわしい成績であり、両者の成績を比べることは極めて難しいことかと思います。

「歴史を塗り替えたジャッジ選手」と「歴史を作った大谷選手」

しかし、過去に一度だけW受賞があったとはいえ、投票によって決まるMVPには、どちらか一人しか選ばれません。

この状況でもっとも適切な対応は何か、と考えたときに私が思うのは、

「両者を”MVP相当の賞”で表彰する」

ことだと思います。

 

これまでMLBは、二刀流・大谷選手というの登場に合わせて、

様々なルールを変更する柔軟な対応を見せてきました。

その柔軟さをここでも見せてほしいと思います。

 

W受賞でも構いませんが、

私が「こうなったらいいなあ!」と妄想するのは、

他の選手に比べて明らかに傑出した成績を残したジャッジ選手をMVPとして表彰し、

他の選手と比べようのない偉業を達成した大谷選手は「新しい賞を創設」して表彰するというものです。

だからこそ、MVPはジャッジ選手!というわけです。

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もちろんMVPという賞の権威を考えるに、同等以上の賞を創設するというのはかなり難しいことと思います。

しかし、今シーズンまさに「異次元の活躍」を見せてくれた両者のうち、どちらが落選しても私は納得がいきません。

実際の賞の行方がどうなるかわかりませんが、何らかの納得がいく形で決着がついてほしいと思います。

おわりに

今回は、MLBのMVP論争について思うところを書きました。

異論、ご指摘などは沢山あるかと思いますが、参考程度に捉えていただければ幸いです。

来年以降も両者の活躍、またそのほかの選手の活躍を期待して記事を終えます。

それでは、また!

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