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夏の風物詩の一つ、怪談。

やはり私たち僧侶は「その手の話無いの?」と聞かれることはよくあるわけですよ。

霊感あるの?幽霊見えるの?とかね。

先に言うと私には霊感とかそういった類のセンスは皆無です。

そもそも仏教では死後の世界や霊魂など、はっきりと証明ができないものを論じてはいけないという意味で「無記むきといいます。

思えば私の師匠も昔の心霊番組なんかは話半分程度にしか受け止めていないように見えたので、幼心になんとなく「幽霊なんていないんだな」と思いました。

何しろお墓のすぐ近くで暮らしていて自分の眼にも視えなければ、師匠も信じていないように見えるわけです。

大学生になった私は、気づけば霊感が無い=心霊の類とは関係がないという「おばけなんてないさ精神」を身につけていました。

今回は、そんな私が経験したお話です。

怪談の類が苦手な方はお控えください。

ダンスサークルの夏合宿

これは2012年、大学3年生の夏の終わり、9月上旬の出来事。

私が学生時代に所属していたダンスサークルでは、毎年この時期に夏合宿を行います。

夏合宿とはいってもダンスの練習で缶詰になるわけではなく、流しそうめんをやったり飲み会もあったりする、まあいわゆるサークルの合宿です。

そんな合宿の恒例行事の中に、肝試しがありました。

当時私はサークルの会計係、つまり運営側の人間です。

そこで肝試しの怖がらせる役を担当しました。

怖がらせるとはいっても、合宿所を出て間も無くある森の入り口に立ち、

「先が分かれ道になっているから左に曲がってね。その先にお菓子があるからそれを持って帰ってきたらゴールだよ…。」

と告げる、言わば案内役です。

森に入っていったチャレンジャーが無事に帰ってきたら「お疲れ様、怖かった?」と声をかけ、安心させます。

合宿所の灯りも見えてきて足取りも軽くなったチャレンジャーに私は再び声をかけます。

 

「あ、そういえばさー!」

 

私の声に振り返るチャレンジャー。

 

そしてそこに立っているのは物陰に隠れていた、

 

 

顔を真っ赤に塗った先輩。

 

 

 

これがもう見事に決まって、後輩たちを怖がらせることに成功した私と先輩はハイタッチ。

私はその役を嬉々として務めたのでした。

そう、携帯電話の明かりしかない真夜中の森の入り口に腰掛けて、2時間も…。

重なる不運と、ある日の講義

楽しい夏合宿は無事終了。

私は暗い森の入り口に2時間も座っていたということで、自分は心霊の類に対して強いという謎の自信をもちました。

しかし、それからです。

私は次々に不運に見舞われます。

2年ぶりにできた彼女に振られ、バイト先が閉店、ダンスの練習で足首の靭帯を伸ばし、落ち込んでいるうちに腸炎を起こして寝込んでしまいました。

悪いことが続き、心身の傷が癒えぬまま12月を迎え、私は大学で選択した少人数の講義に出ていました。

その講義は学生4、5人聴講生のおじちゃんおばちゃんが10名程という特殊な講義でした。

わからないことを自由に質問でき、まだ30代の先生がとてもわかりやすく教えてくれる、仏教の面白さに気づかせてくれた講義でもあります。

その日の講義は、なぜか人前で話す練習として、学生が教壇に立って最近あったことを5分で話すという内容でした。

そこで私は、最近不運が続いていること、それを通して人生うまくいかないものだと感じたということを話しました

その講義は、それで終了。

ただし、一緒に講義を受けていた先輩が落ち着きなく席を立つことがあったり、先生が急に窓を開けて換気をするなど、今思えば不思議な点はこの時すでにあったのです。

飲み会で

その講義では、よく先生と一緒に飲みに行っていたので、その日も私と同級生一人先輩二人と先生の5人で居酒屋にいきました。

すると先輩の一人がよくわからない話を始めます。

「昨日知り合った女の子が出たり入ったりが忙しい子でさ、多分無意識におれのところにきたんだよね」

なんのことかわからない私同級生を余所に、もう一人の先輩と先生は「うわ〜大変だったね」と事情は飲み込めている様子。

私が恐る恐る「霊感…ですか?」と尋ねると、その先輩は「いや霊っていうか…うーん、感じるんだよね。」となんとなく答えます。

そして続けてていうか、お前やばいよ。お前の近くいると具合悪くなる。と私に言うのです。

そう、この先輩、先ほど講義中も落ち着きなく席を立った先輩です。

さらに先生がこう続きます。

「西田くんさ、夏になんかやった?夏の終わりからなんかおかしいけど。」

真っ先に合宿の肝試しを思い出し、そこで自分がしたことを話しました。

すると先輩は急に

「座ってたところの近くにガードレールあった?」尋ねてきました。

私はゾッとしました。

そう、あそこにはガードレールがあったのです。

つまり、まだ話してもいない土地のディティールを言い当てられたのでした。

驚きながらあったと答えると、

あ〜〜、と納得したようなため息をつくような反応の先輩と先生。

そして先輩は見かねたように、「やっぱダメだわ、ちょっと外出よう。」と私を居酒屋の外に連れ出すのでした。

 

後編へつづく

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