
スポンサードリンク
これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。
Contents
前回までのあらすじ
前回は永平寺から出発して13日目、新潟県田上町から阿賀野市の徳昌寺までの道のりをお送りしました。
阿賀野市名物「ヤスダヨーグルト」のご紹介に始まり、徳昌寺副住職、中野悠志さんとの思い出など、いつもながらの脱線脱線を繰り返しながら綴っています。
※前回の記事は以下から読むことができます。↓
バックナンバーは以下から読むことができます。
今回は、徳昌寺での出来事をお送りします。
お寺参り
13日目 16:00〜
ここ徳昌寺は、阿賀野市と新発田市との境にひっそりと佇むお寺です。
周りは木々に囲まれ、近くに大きな道路や線路もなく、静寂な時間が流れます。
前回もお伝えしましたが、ここは修行仲間の「中野悠志さん」のご実家であり、副住職を務めるお寺です。
無事到着したものの、この日ご葬儀と被ってしまい、それが終わるまで少しの時間待つことになりました。
前日泊まった東龍寺では、坐禅会の日と被り、徳昌寺では葬儀と被ってしまい、私は本当なんて迷惑なタイミングでお寺を転々としているのでしょうか。
忍びない気持ちでいっぱいになりながら、悠志さんの帰りを待つことになりました。
17:00〜
葬儀が終わり、ご住職と悠志さんが帰ってこられましたが、このあたりの地域では、ご葬儀火葬を終えた後、「お寺参り」と呼ばれる、ご遺族がお寺のご本尊様に葬儀が終わったことを報告するという習わしがあるそうです。
葬儀や火葬の一連の流れは、その地域やお寺によって多少の違いがあり、お寺参りは私の生まれ育ったお寺ではあまり行われない風習です。
ご住職に挨拶を済ませ、お話をしているとご遺族が到着され、本堂でお寺参りの法要が営まれます。
その後は、ご遺族の方々とご住職、悠志さんがお茶をしながらお話をしているその場になぜか私も参加するという不思議な時間となったのでした。笑
修行仲間というのは、修行時代しか知らないというのがほとんどです。
修行を終えたら、遠方の仲間は一年に一回行われる同期会に参加しない限り会うことがほとんどありません。
こうして修行仲間の生まれ育ったお寺をお参りしたり、法要を営んでいる様子、お檀家さんとの関わり方を目の当たりにするのは貴重な体験と言えるでしょう。
迷惑なタイミングでの訪問となりましたが、父であり師匠であるご住職と一緒にお寺参りを勤める悠志さんの姿を見れることはとても新鮮でした。
私はお寺の次男として生まれ、そして兄が後継として出家修行をしていたので、別にお坊さんの道を志す必要はありませんでした。
ただ、大学時代に悩んだ自分に対しての劣等感、人生の葛藤をきっかけに出家を志しました。
なので、それまで実家での仏事を手伝ったこともなく、この時まで私自身が今後、葬儀や法要を営むと言うイメージがあまり湧きませんでした。
おそらく私の心のどこかで世襲制や葬式仏教に対しての批判や揶揄があったのでしょう。
しかし、徳昌寺のご住職や悠志さんがお檀家さんと接する姿、そして何よりご遺族の方が葬儀を終え一区切りついて安堵の表情と感謝の言葉を述べているその姿は、私の中で強烈な印象として残っています。
故人を送り、そしてご遺族の悲嘆に寄り添うという日本のお寺が担ってきた大切な役割の一旦をこの時目の当たりにしたのです。
こうして修行道場での生活しか知らない私にとって、この旅で出会う一瞬一瞬が学びの時間であり、貴重な体験の場所となっていくのでした。
白玉の湯「泉慶」
18:00〜
さて、葬儀もお寺参りも終わり、ある程度落ち着いたところで、悠志さんは近くの温泉に連れて行ってくれました。
その名も、月岡温泉白玉の湯「泉慶」!
なぜ白玉なのか・・・
それは日本トップクラスの硫黄成分を含んだ泉質が、ツルツルすべすべの美肌になれるとして、白玉の湯と呼んでおり、飛躍して美人になれる温泉として有名です!
つまり、ここに入ればリリーフランキー作の絵本『おでんくん』に登場する「たまごちゃん」みたいにツルツルスベスベの美人になれるのかもしれないのです!
だから悠志さんの肌はこんなにもスベスベだったのか。
特に私は美肌を望んでいる訳でも美人になる必要もありませんが、ツルツルの姿はまさしく白玉と見間違えてしまうかもしれません。
エメラルドグリーンのお湯はトロッと滑らかで、硫黄の含有量の多さを物語っています。
嗚呼。
染み渡る気持ちよさ・・・
こう振り返ると、本当無一文と言いながら結構贅沢してますよね?笑
ま、そのあたりもご愛嬌。
何はともあれ新型コロナが落ち着いたら温泉でも入りに行きたくなった今日この頃です。
皆さんも、外出自粛規制がとけて、もし新潟県に行く機会がありましたら、是非月岡温泉白玉の湯「泉慶」に立ち寄って見てはいかがでしょうか?
徳昌寺を後にして
14日目 8:00〜
温泉に浸かったからすっきりとした目覚めです。
身支度を整え、朝の8時頃には徳昌寺を後にしました。
悠志さんとご家族の皆さん、ご葬儀とかぶったりお忙しい中、暖かく迎えてくださり本当にありがとうございました。
さて、本日の目的地は新発田市にある「常勝寺」を目指します。
この日は16kmの道のりになるので、割と緩やかな行程です。
しかし、旅を振り返るに当たってこのあたりからある変化が訪れます。
それは・・・
圧倒的に写真が少ない!笑
おそらくですが、足の痛みや疲労感から景色を楽しんだり、写真を撮ったりと言う行動が少なくなってきたのでしょう。
ちなみに徳昌寺を出発する時の左足の状態はこんな感じです。
汚い足を晒して申し訳ありません。
白のテーピングが痛々しさを増長させておりますが、実際痛々しいどころではなく、右足首に比べるとパンパンに腫れています。
「やめておけばいいのに・・・」
と、今この時の私に出会ったら言ってあげたいくらいです。
それでもここまで来たのだから突き進むしかありません。
今後はもしかしたら記憶が途切れ途切れな部分があるので、お伝えする内容が粗末になるかもしれませんが、ご了承ください。
続く
次回予告
永平寺を出発して丸2週間歩き、新潟県阿賀野市まで来ましたが、ここにきて疲れや痛みがドット増して来ました。
私の足首の脆さ、そして足腰の弱さは慚愧に堪えません。
おそらく後10日は歩かなければならないのですが、今後どうなって行くのでしょうか。
次回は、新潟県新発田市「常勝寺」までの道のりをお送りします。
vol.24「徳昌寺と泉慶」をお読みいただきましてありがとうございました(^ ^)
続きはこちら↓