【僧侶的よろずレビュー#20】禅の教室-禅でつかむ仏教の真髄-

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自分が観た・聞いた・読んだものを僧侶の視点からレビューする【僧侶的よろずレビュー】

今回ご紹介するのは、以前YouTubeでもご紹介させていただいた、『禅の教室-禅でつかむ仏教の真髄』(藤田一照/伊藤比呂美著)になりますが、改めてブログでもご紹介したいと思います!

Contents

藤田一照さんとは?

こちらの本は、曹洞宗のお坊さんの藤田一照さんという方と、詩を書かれたりお経の現代語訳などをされている伊藤比呂美さんという方の対談本になっています。

「禅の教室」ということで、タイトルの通り、坐禅についてお話されている内容になっています。

藤田一照さんは、おそらく曹洞宗のお坊さんだと知らない人はまずいないくらい有名なお坊さんではないでしょうか。

もちろん、他宗派のお坊さんはもちろん、一般の方でも聞いたことがあるという人も多いのではないかと思います。

元々在家(お寺の生まれではない)の方ですが、大学院に通っているときに坐禅と出会い、そのまま大学院を中退し兵庫県の山奥にある安泰寺というお寺で坐禅修行に入り、気づいたらお坊さんになっていたというとても面白い経歴をお持ちの方です。

ある時お師匠さんからアメリカに行ってきなさいと言われ、そのまま渡米して東海岸のマサチューセッツ州の小さななお寺で暮らしながら、アメリカ人に坐禅を伝えながら18年間過ごされました。

現在は日本で様々な執筆活動の他、一般の方に坐禅を伝えたり、講演会などでお話をされたりしている方です。

私自信もこれまで、藤田一照さんの本を読んだり、講演会や座禅会に参加してきましたけれども、一言でいうと仏教や禅ってこんな見方ができるんだ!と、はっと気づかされることが多々あります。

1回オンライン坐禅会に参加したときは、300人近く参加者がいたくらい、お坊さんに限らず一般の方にも大変人気があるお坊さんです。

引用:公式サイトより

本書の構成

・序章「そもそも禅ってなんですか?」

・第1章「私の坐禅は正しい坐禅?」

・第2章「正しく坐るのも一苦労?」

・第3章「坐禅の効用って?」

・第4章「日本の禅、海外のZEN」

・終章「今夜、坐禅をする前に」

序章、1章では、仏教や禅についての基本的ことについてお話をされています。

そして、2章では実際に伊藤比呂美さんが藤田一照さんから坐禅指導を受けて、実際に体験されます。

3章では、坐禅の効果ということで、なんで坐禅をするのか。

4章では、アメリカの禅と日本の禅の違いについて。

終章では、つまり坐禅とは何?ということについて語られています。

なぜこの本がおすすめか?

数ある仏教書がある中で、なぜこの本がおすすめかというと、対談をしている伊藤比呂美さんが、しっかりとわからないことをはっきりとわからないと藤田さんに問いかけているところにあります。

本書のはしがきでも、藤田さんが

比呂美さんは仏教や禅についての自らの無知を一向に隠すことなく、ストレートに「それって何よ?」と切り込んできた。

と、述べている通り、本当にストレートに聞いています。笑

一般の人にとって仏教語というのは、初めて聞く言葉というのはとても多いと思います。

しかし、私たちお坊さんは、それが当たり前に通じると思って、何気なしにさらっと言ってしまうこともよくあります。

それに対して、比呂美さんが「それってなに?」と突っ込むわけです。

仏教ってなんですか?仏ってなんですか?禅ってなんですか?

なので、仏教のスペシャリスト同士の難解な対談というよりは、比呂美さんの疑問に一照さんが丁寧に説明をしている対談になっているのかと思います。

初めて仏教に触れる人にとっても、禅を知らない人でも、比呂美さんのツッコミがあることでとても読みやすくなっており、おすすめしたいポイントになっています。

また、とても面白いなと思ったのは、伊藤比呂美さん坐り方を説明を受けているときに、

「足が痛いんですけれどもどうすればいいですか?」

「かゆいんですけれども、かいていいですか?」

と、中々お坊さんに聞けないようなことも普通に聞いているあたりは、読んでいて笑ってしまった場面です。笑

安楽の坐禅とは?

皆さんの中でも、坐禅と聞くと厳しいとか我慢するとか精神統一、無になるためにやると思っている方も多くいると思います。

実はそうではなくて、私たち曹洞宗の教えを伝えた道元禅師は「坐禅は安楽の法門なり」と言っています。

つまり、坐禅は安らかに生きるための方法、入り口であると言っているわけです。

私自信、修行した永平寺でもよく警策と呼ばれる木の棒で叩かれたり、叩いたり、姿勢を直されたり、全然安らかじゃないじゃん!っていつも思っていました。

おそらく修行したお坊さんは一度は思ったことでしょう。

だけれども、藤田さんは本来道元禅師が安らかに座るとはいったいどういうことか?ということを、しっかりと研究され、そしてご自身の体験とアメリカ人に坐禅を伝える中で言語化し、体系化してくれた方だと思っています。

なので藤田さんが説かれる坐禅というのは、厳しさとか無理をするといった感じではなく、苦行にならない坐禅、無理をしない、頑張らない坐禅というのを提唱されています。

私自信、藤田一照さんの本を読んだり、講演会を聞いたりして、そこから一気に坐禅に対する考え方というのが変わりました。

今も坐禅を指導する際は、藤田さんの考え方や指導法というのはとても参考にさせてもらっています。

やっぱり坐禅を始める前に、「坐禅とはどういうことか」という方向性だけはしっかりと捉えて置くことが必要になってくるので、その意味でもこの本を読むことをおすすめします。

まとめ

価格も900円ほどでとてもリーズナブルで、新書の300ページにみたいない本ですが、内容はとても充実していると思います。

是非、ご興味ある方手に取っていただけたらと思います。

またもっと専門的に読みたい方は、藤田一照さんの単著もありますで、そちらをおすすめします。

 

こんな人におすすめ!

・これまでも坐禅に親しんできた方はもちろん、これから坐禅に親しみたい方!

・仏教や坐禅の基本的なこと、坐禅と瞑想、マインドフルネス何が違うのって疑問に思っている方!

と、いうことで今回は僧侶よろずレビューということで禅の教室ー坐禅でつかむ仏教の真髄ーをご紹介させてもらいました。

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