
スポンサードリンク
これは私、深澤亮道が4年前に福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。
Contents
はじめに
先日、Facebookを見ているとたまたま4年前に投稿した記事が出てきました。
4年前、私は福井県にある大本山永平寺での4年8ヶ月の修行を終え、実家のお寺がある岩手県花巻市まで無一文で托鉢をしながら歩いて帰りました。
もうあれから4年も経つのかーと、しみじみ当時のことを振り返りました。
歩いた期間は3週間ほどですが、この3週間は本当に苦しい日々でしたが、人の優しさに触れ、色々な出会いがあった日々でもありました。
私にとって忘れられない経験でしたが、今までこれを文字に残す、振り返るということをしてきておらず、ただなんとなくの思い出になっていました。
そこで…
4年という年月が経ってしまいましたが、今更ながらこの福井から岩手まで歩いて帰った時の様子を書き綴っていきたいと思います。
長編になるかと思いますが、興味がある方は是非お付き合い下さい。
今回は「歩いて帰ることになったきっかけ」についてお届けしたいと思います。
きっかけ
何を隠そう私は基本的に「死ぬ時に後悔したくない!」精神で生きています。
ですので、修行も本来であれば1年でよかったのですが、 後々「もう少し修行しておけばよかったなー」と思いたくないので、とりあえず自分で後悔しないと思えるくらい大本山永平寺でお世話になりました。
4年8ヶ月の修行期間中では年に2人しか選ばれない「首座」という修行僧のリーダー役も務め、3ヶ月間アメリカにあるお寺や禅センターで海外研修など様々な有り難い経験をさせていただきました。
もうこれだけ経験したのだから後悔することはないだろうと、永平寺での修行の区切りを決断しました。
そして、いざ永平寺の修行を終える時期が近づいてきた時に襲ってきた感情、それは…
不安と恐怖でした。

イメージ図
永平寺はテレビもありませんし、基本は新聞を読むこともありません。
近くにコンビニエンスストアもありませんし、スーパーもありません。
世の中の情報が入ってくることも、自由に出歩くこともできません。(一部を除く)
こう聞くと不便で大変な場所と思われるかもしれませんが、長い間生活をしていると、不思議とその環境が心地よくなります。
着る服は選ばなくていい、食事は3食出てくる、住む場所にお金はかからない。
確かに不自由な面もありますが、よくよく考えると一般社会で生活をするよりもずっと選択肢疲れやストレス、衣食住に悩まされることはない、実は身体も心も自由になれる場所なのです。
しかし、ずっとこの場所にいるわけにもいかず修行を終える決意をしたものの、その日が近づくにつれて不安と恐怖が増していきました。
世間一般社会で果たして生活できるのか?
お坊さんとして本当にこれから生きていくことができるのか?
そんな感情が湧いてきました。
映画『ショーシャンクの空に』で、モーガン・フリーマン演じる囚人レッドが、仮釈放が決まり娑婆で生活をすることに絶望していた気持ちがなんとなくわかるような気がします。
映画の中でレッドは40年という長い年月服役していましたが、私はそれくらい永平寺の修行という場所に慣れ親しんでしまっていました。
そこで思いついたのが…
「お金を持たずに歩いて帰る」という選択でした。
不安と恐怖の払拭
実は修行を終えて歩いて帰るということは以前は珍しいことではありませんでした。
昔中国で禅宗が盛んだった頃には、お坊さんが色んなお寺を歩いて周り、修行を重ねました。
日本に曹洞宗の教えを伝えた道元禅師も中国や日本で、色々なお寺を修行してまわりました。
この、一箇所に定住するのではなく様々なお寺を尋ね歩く行脚というスタイルは、とてもポピュラーなものだったのです。
そんな先人達に倣い、修行に行くときやお寺に帰るときは歩いて帰るという慣習を選択するお坊さんも少なくありません。
禅活メンバーの西田も永平寺に行くときは徒歩ではありませんが、実家からお坊さんの格好で永平寺まで行っています。
毎年永平寺を後にする修行僧のうち、3人〜5人は歩いて帰っています。
私の永平寺の同期は90人いますが、その内5人は歩いて実家のお寺まで歩いて帰っています。
しかし、「死ぬ時に後悔したくない!」精神で生きている私は考えました。
「歩いて帰っている人はいても、もしかして無一文で帰った人はいないんじゃないか?」
「それに無一文でもし帰れたとしたら、お坊さんとして生きていく自信につながるんじゃないか?」
人生一度きり!
この機会を逃したらもう二度とする時は来ない!
という理由で私はお金を持たずに永平寺から無一文で歩いて帰る決意をしたのでした。
次回予告
次回は「永平寺を出発するまでの裏話」と「自分で定めたルール」「初日の挫折」をお送りします。
だいたい週に1回の更新予定でお届けしたいと思っています。
4年前のことを思い出しながらつらつら語って行きますので、ちょっとでも目を通していただけたら嬉しいです。
vol.1「歩いて帰ることになったきっかけ」を読んでいただきありがとうございました(^ ^)
続きはこちら↓