【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】vol.19 柏崎のラブーン

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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。

Contents

前回までのあらすじ

9日目

お笑い芸人「プラスマイナス岩橋」に似ている男性の車に、少しの距離乗せてもらいました。

その車中、岩橋さんは「東日本大震災以降、宮城県に移り住むことになってねー」と、仰いました。

前回は本編より少し脱線して、岩橋さんの発言から回想した、私が経験した3.11をお送りしました。

前回の記事は以下から読むことができます。↓

バックナンバーは以下から読むことができます↓

【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】

今回は、9日目の目的地である「寿慶寺」を目指します。

クジラのラブーン?

9日目 12:00〜

およそ6kmほどでしょうか?

10〜15分ほど岩橋さんの車に乗せられて、目的地まで残り20kmほどのところで下ろしてもらいました。

岩橋さんとお別れをし、例のごとく国道8号線をまっすぐ北上します。

30分ほど歩くと海沿いの景色から離れ、だんだんと道の両脇に樹木が目立つようになりました。

おそらく海沿いの道から、市街地に向かって道が伸びているのかなと思わせてくれます。

そしてその道の途中には、大きく口を開けたクジラの地下道がありました。

近づいて見るとそこには鯨波横断地下道くじらなみおうだんちかどうの文字が!

キャッチーな見た目に寄らず、なんとも渋い正式名称です。

信号待ちしていると、いきなり頭頂部からプシュー!と音を立てて水が出ているではありませんか!

以下、私の心象↓

もうちょっと、海沿いに作ればいいのに!

もうちょっと、可愛い名前にしてあげればいいのに!

もうちょっと、塗装を綺麗にしてあげればいいのに!

と、心の中で呟きながらも、突如現れた斬新なモニュメントに楽しませてもらいました。

いや、しかしその様子は、さながら漫画『ワンピース』で、50年間もの長きに渡りルンバー海賊団の帰りを双子岬で待つ、アイランドクジラの「ラブーン」と重なるところがあります。

魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)で、主人公モンキー・D・ルフィー率いる麦わら海賊団がたまたま出会った「ブルック」は、「ヨミヨミの実」の能力で一度は死んだ身ですが、ガイコツ姿のまま生き返り、49年間たった一人で海の上をさまよい続けました。

実はこのブルックは、ラブーンに必ず帰ると約束をしたルンバー海賊団の一味だったのです。

この双子岬のラブーンの登場から、ブルックの登場まで結構時間がかかります。

いや、個人的にはほぼラブーンの存在を忘れていた時でした。

 

まさかそんな伏線の回収があるとは!

ラブーンが今でもルンバー海賊団の帰りを待ち続けていると、ルフィーから伝えられたこのシーンで涙した読者も多いのではないでしょうか?(私は泣きました。)

出典:『ONE PIECE』第486話

ONE PIECEは2度目の登場ですね。

かなり脱線してしまいました。

話を戻しましょう。笑

コンビニにてまさかの・・・

ラブーン・・・もとい!「鯨波横断地下道」の反対側にファミリーマートがあったので、小休止をしようとトイレに立ち寄りました。

そこにはなんと、本日一晩泊めてもらう約束をしていた修行仲間の黒金寿志くろがねしゅうしさんの姿が!

先輩から頼まれて海の家を建てていたそうで、ニッカポッカに頭にはタオルを巻いており、真っ黒に日焼けをした肌で一瞬誰だかわかりませんでした。

いや、むしろ怖い人がいる!と、思ったくらいです。笑

まさかこのタイミングで会うとは!

このまま家まで乗せてってー。泣と言う泣き言が喉まで出かけましたが、そこはグッと堪え今日、よろしくお願いね!笑とだけ言葉を交わし、去って行ったのでした。

9日目 15:00〜

またしばらく歩くと、緑の中に民家やお店の姿が見られ、だんだんと市街地へと変わっていきました。

市街地には、ラーメン屋!焼肉!回転寿司!Starbucks coffee

久しぶりに飲食店の看板が連なる道に出て、心が踊ります。

実際に食べられる訳ではありませんが、妄想の中で味わいます。

また、以前もお伝えしましたが、市街地はお店が立ち並ぶので、チェックポイントのように目印になり、飽きが来なくてとても歩きやすいです。

ほどなく歩くと市街地を抜け、今度は田んぼを中心とした景色に変わっていきました。

寿慶寺到着

9日目 17:00〜

岩崎さんの車に乗せてもらったこともあり、予定よりも早く目的地に到着しました。

本日泊めていただくのは、柏崎市にある寿慶寺さんです。

柏崎市内から少し外れたところに、ひっそりと佇む趣のあるお寺です。

先ほどファミリーマートで偶然会った、黒金寿志さんが生まれ育ったお寺になります。

寿志さんとは、3年ぶりの再会になり、思い出話に花を咲かせます。

海の家を建てている最中なので、サーファー並みに日焼けをしている寿志さんを隠し撮りしました。笑

筋肉質で見た目はとても厳ついですが、つぶらな瞳で心優しい方です!

柏崎刈羽原子力発電所

ご存知の方も多いかもしれませんが、ここ柏崎市には「東京電力柏崎刈羽原子力発電所」があります。

私が歩いてくる道のりからも、その全景を見ることができました。

7基の原子炉がある柏崎刈羽原子力発電所は、過去に新潟中越地震や東日本大震災の影響を受け、現在は稼働を停止している状況です。

しかし、その内の2基は再稼働の方向で検討されているそうです。

あんなもの無ければいいのに・・・

ふと、寿志さんと話している最中に原子力発電所の話題になった時にそう呟きました。

その言葉からは、実際に近くで住む住民の悲痛な叫び、そして不安がみてとれました。

前回の記事でもお伝えしましたが、私は震災後の原子力発電所の動向など、知ることができませんでした。

確かに、原子力発電所によって、安定した電気の供給という恩恵を受けているのも事実です。

しかし、今でも東日本大震災の影響で住む場所を追われてる人々がいます。

今でも日本の至るところで、福島原子力発電所の二の舞になるのではないかと、見えない恐怖を感じている人々がいます。

私は専門家ではないので、その是非について何か申し上げることはできません。

ただ、苦しんでいる人々がいるという事実においては、僧侶としてこれからも考え続けなければいけない問題だと感じました。

この日、私は岩橋さんと寿志さんとの会話の中から改めて「3.11と原発」について深く考えさせられたのでした。

出典:wikipedia

寿慶寺を後にして

10日目 7:00〜

周りを木に囲われているため、鳥のさえずりがかすかに聞こえる中、爽やかな朝を迎えました。

ちなみにあまり綺麗な画では無いですが、現在私の足の状況はこんな感じになります。

このテーピングの仕方があっているかわかりませんが、こうでもしていないと痛みがます一方なので、とりあえず足をガチガチに固定し、身支度を整えます。

出発前に、一晩お世話になった寿志さんと記念撮影をし、寿慶寺を後にしたのでした。

右が黒金寿志さん。

左も、修行仲間の中野悠志さん。

悠志さんはまた後ほど登場します。

続く

次回予告

9日目

岩崎さんとお別れをしてから、寿慶寺までの道のりをお送りしました。

正直にこの日は、本当に3.11について考えさせられた日でした。

今振り返っても「何も知らなかった」と思うばかりです。

でも、タイミングはどんなに遅くても、考えることに終わりは無いことも事実です。

こうして歩いて帰った時の出来事を伝えることも、私のできる一歩なのかなと思います。

さて、次回は10日目の三条市までの道のりをお送りできたらと思います。

「vol.19 柏崎のラブーン」をお読みいただきありがとうございました(^ ^)

続きはこちら↓

 

 

 

 

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