【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】vol.37 負けないで

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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。

Contents

前回までのあらすじ

前回は、岩手入りしたところから、一関市→平泉町→前沢町→水沢までの道中をお伝えしました。

前回の記事は以下から読むことができます。↓

バックナンバーは以下から読むことができます。

【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】

さて今回は、安養寺を出発して北上市に入ったところまでをお伝えします。

まだゴールしませんが、どうぞお楽しみください!

蕎麦と天ぷら、うなぎのー♪

22日目 16:00〜

天気はどんよりとした曇り空から、ポツポツと降り始め、気づけば大粒の雨に打たれていました。

目的地の「安養寺」まで、あと5km。

気温5度、雨が降りしきる中、精一杯足を前に踏み出します。

実はこの時、お昼を過ぎからずっと我慢していることがありました。

それは・・・

「尿意」!

あまり大文字にするものではないですね。笑

ただ、「あと数キロだし我慢できるだろ」とか、

「雨だからカッパを脱いでトイレに入るのがめんどくさい」とか、

様々な要因があり、誤魔化しながら歩いていました。

しかし、この冷たい雨のせいなのか、そんな我慢が突然限界を迎えます!

市街地に入ってきたものの、ちょうどいいコンビニが見当たりません。

しかし、私の目の前には大きな武家屋敷が!

私は迷わず駆け込みます!

いらっしゃいませー、1名様ですかー?

中から割烹着を着た女性が、私にご利用人数を尋ねて来るではありませんか?

「なんと!?ここは武家屋敷ではないのか!?」

と、ちょっとした小ボケを入れて見ますが、もちろん承知の上でこのお店に駆け込みました。

ここは、岩手県を中心に東北各県で展開している、和食レストラン南部屋敷なんぶやしき

蕎麦と天ぷら〜、うなぎの〜♪

というCMのフレーズでおなじみですが、本当に何食べても美味しいですし、何より子連れでも安心して食事が楽しめるくらい、店内が広々としています。

おそらく岩手県民だったら一度は必ず行ったことがあるのではないかと思うくらい、岩手県内各地に点在しています。

是非、皆さんも岩手県を訪れた際は、「南部屋敷」を訪れてみてください!

個人的には、花巻店と前沢店しかありませんが、鉄鍋で食べる「南部ラーメン」もおすすめです!

のうしょ?なっしょ?

そんなこんなで、南部屋敷のお手洗いをお借りして、無事用を足すことができました。

そして、食事をしたい気持ちをグッと堪え、店員さんにお礼を伝えお店を後にします。

南部屋敷 水沢店から1時間ほど歩きようやく本日の目的地である「安養寺あんようじ」に到着しました。

「vol.35 in IWATE!」でもお伝えしましたが、ここ安養寺は修行時代の同期である、阿部哲哉あべてっさいさん(通称:ベーちゃん)が勤めているお寺になります。

勤めていると言っても、副住職や跡継ぎというわけではありませんが、納所なっしょという役割で勤めています。

通常、檀務(葬儀や法事など)は住職さんや副住職さんだけで、執り行っているお寺がほとんどです。

ただ、お檀家さんが多いお寺などはそれでは手が足りず、専属でお坊さんを雇うことがあり、そのお坊さんのことを「納所さん」と呼んでいます。

元々は、「年貢をめる場」をさしていたそうですが、そこからそれを管理する人を納所と呼び、禅宗寺院でも金銭を扱う部署、人を納所と呼ぶようになったのだとか。

お坊さん同士の日常会話でも、あそこのお寺納所探してるらしいよーとかあの人、今あそこのお寺で納所してるんだって?と、たまーに出てきます。

修行を終えた後、大きいお寺で何年間か納所をした後に、自分のお寺に戻るというのもよくあるパターンです。

特に永平寺などは、法要の動きや一般の方との関わりを持つということがあまりないので、納所として勤めて、修行とはまた違った研鑽を積むという方も多くいらっしゃいます。

ベーちゃんも実家がお寺ではないこともあり、この時もこうしておじさんのお寺で納所として勤めていました。

安養寺にて

22日目 17:00〜

ベーちゃんは、安養寺の境内にある離れ?で暮らしていました。

普通に生活ができるようにお風呂やトイレなどもあり、お寺の境内ではあるけれども1人暮らしのような部屋に住んでいました。

そして部屋に着くや否や、「お風呂沸いているから先に入って!」と促されるまま、お風呂に直行します。

なんて気が利くんだ!

4つも年下ですが、本当に優しくていい子なんです。

修行時代も、同期のみんなから愛されキャラとして可愛がられていたのがベーちゃんです。

お風呂のあとは、住職さんご一家が住んでいる庫裏くり(お寺のご家族が住んでいる居住空間のこと)で、熱々の鍋をご馳走になりました。

この旅のタイミングがもう少し遅ければ、こんな寒さの中野宿もあったのかもしれないと考えるとゾッとします。

有難いことに、最後の夜は、暖かいご飯をいただき、温かい布団で眠ることができました。

最終日の朝

23日目 8:00〜

昨日雨が降ったこともあり、ひんやりとした空気があたりを包み込みます。

ご実家と納所先である安養寺に泊めていただいた、ベーちゃんにお礼を伝え、一緒に写真を撮りました。

ここまで彼のことを紹介してきたのに、これが初出になりますね!笑

まだあどけなさが残る野球少年のような彼がベーちゃんです。

安養寺を出発し、最終日にふさわしい爽やかな秋晴れの中、ゴールの歓喜寺を目指します。

セブンイレブン北上国見橋店

23日目 12:00〜

たった23日間かもしれませんが、本当に様々な出来事がありました。

ただ、この期間あまりにも色々な出来事があり濃い時間だったので、永平寺を出発した時がはるか遠く昔のことのようにも感じます。

この旅の思い出を振り返りながら、一歩一歩進みます。

4時間ほど歩き、水沢市(現奥州おうしゅう市)金ヶ崎かねがさき町を通り、北上きたかみ市に入りました。

この北上市を超えると、ついに花巻市に突入です。

ゴールまで残り15kmくらいのところ、途中にあったセブンイレブンで、少し休憩をしようと立ち寄りました。

この道も昔からよく通る道であり、そしてこのセブンイレブンもよく立ち寄るコンビニでした。

普段何気なく車で立ち寄っていたコンビニに、こうして700km歩いて、そしてお坊さんの格好でいることに少し不思議な気分になります。

携帯電話に、母親から着信があったため、かけ直すと

何時に着くのー?
家族みんなで待ってるからねー!

と、相変わらず気楽な感じです。笑

「あと、3時間くらいかな〜?
ゆっくり待っててー」

と、電話を切りました。

15〜20分ほど休んで、さぁ最後の力を振り絞って帰るぞ!と、立ち上がった時です・・・

い・・・痛い!!!

痛めていた左足に、今まで経験したことの無いような激痛が走りました

その痛みは、どんどん増してきて、ついには脂汗まで流れてきました。

これまでもお伝えしてきたように、もちろんずっと左足に痛みはありました。

しかし、先ほどまで普通に歩いていたのに、突然の激痛です。

今まで気を張って歩いてきて、なんとか精神力でカバーしてきましたが、おそらく見慣れた道、見慣れた場所に来たことによって一気に緊張の糸が解けてしまったのかもしれません。

「これはちょっとまずいな・・・
残り歩いて帰れるかな・・・」

と、ここまで来てリタイアの4文字がよぎり、先ほどかけ直した母親の電話番号を見つめます。

しかし、どんどん溢れ出てくる脂汗の中、私の頭の中でZARD「負けないで」が流れてきたのでした。

実家まで残り11km。

続く

次回予告

「まだゴールしないんかーい!!」

と、自分でもツッコミたくなるくらい、引っ張りますね。笑

しかし、これは私も予想していなかったまさかの展開です!

いや、本当に痛かったんです!

もしかしたら折れているんじゃ無いかと思うくらい。

さて、こんな状況ですがどうなってしまうのでしょうか?

次回こそ!最終話となります!

乞うご期待!!!

「vol.37 負けないで」をお読みいただきありがとうございました(^^)

続きはこちら↓

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