【釈迦をたずねて三千里】 vol.5 ロサルの祈り

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これは2016年に私、深澤亮道と愉快な仲間たちが、インド・ネパールにあるお釈迦様の聖地を巡った旅の記録である。

Contents

前回のあらすじ

前回は、ネパールに到着して2日目。

ガイドのドルジさんのご実家である山岳民族のお宅にお邪魔した様子をお伝えしました。

前回の記事はこちら↓

今回は、ドルジさん宅での2日目の様子をお送りします!

夜が明けて

2月12日(3日目) 8:00〜

永平寺から無一文で帰った時に、野宿を経験していたおかげか、山岳地帯でのテント泊は全く寝苦しいところはありませんでした。

もちろん、この時に泊まったテントというのが、ネパールの山でも耐えることのできる、防寒テントということもあるのでしょう。

標高が高いからなのが、あたり一面をひんやりとした空気が包みます。

向かい側にある山も、相当標高が高いのでしょう。

太陽は出ていますが、山の影となっているため、私達が泊まったドルジさんのご実家の辺りは、中々気温が上がりません。

ドルジさんのお宅に入ると、何やら本日行われる儀式の準備の真っ最中

話を聞いてみると、なんと私たちが伺ったこの日が、この地域の正月にあたる日だったそうです!

vol.3栄光の都カトマンズ」でもお伝えした通り、ネパールには様々な民族、様々な宗教が混在しています。

その民族によって、使用する暦や風習が違うため、ネパールの中でも、この日が正月!とは決まっていないそうです。

そして、その暦の中でもその年によって若干の日にちが変わるそうです。

日本の、成人の日や敬老の日などの移動祝日と似た感覚かもしれません。

(写真手前:ガイドのドルジさん、奥:お父さん)

ドルジさんのお父さんはシャーマン(呪術師、祈祷師)だと仰っていましたが、壁にはダライ・ラマ法王の写真が飾られており、おそらくですがチベット仏教とその民族独自の宗教を信仰されていることが伺えます。

そして、2月にお正月をお祝いするということは、この地域の民族は国はネパールですが、チベット暦を使用している可能性があります。

お正月:ロサル

チベットではお正月のことは、ロサル(log sar)といい、新しい収穫という意味があるそうです。

2月に正月がある理由として、この時期は収穫が完了し、農作業がひと段落した頃にロサルを行い、また新たに1年の五穀豊穣をお祈りするのだそうです。

家庭に設けたの祭壇には花、水、灯明、菓子、果物、バター、チーズなどをお供えします。

お父さんが延々と呪文のようなのを唱えながら、お供えものをしたり、またお米のようなものをパラパラとまいて、無病息災、幸福や平和などを祈ります。

最後に、チベットの主食である「ツァンパ」という麦こがしに似た大麦の粉を練ったお団子に、バターと粉チーズを混ぜた「チェマー」と呼ばれるものを、私たちを含め家族全員の頭に乗せていきます

これはこのお団子に身体の悪い気、悪霊がうつるようにと、頭の上に乗せるそうです

ただ、このチェマーをいつ取っていいのか、なんの説明もなかったため、ずっと頭の上に乗せていたら、気づいたらバターが溶けてベトベトになっていました。

こういう時、坊主って楽だなと思いました。笑

お祈りが終わったら、前回ご紹介したねり棒の揚げ菓子、カプセーやツァンパ、バター茶などをいだきました!

儀礼の形は違えど、このロサルに行う祈りの儀式は、私たちが新年に行っている修正会しゅしょうえと呼ばれるご祈祷法要と通ずるところがあります。

まさかこうしてネパールの山岳民族で、お正月の儀式を体験できるとは思っても見ませんでした。

普通のパッケージツアーだと、こんな体験をできることなんてまずありえないことだと思います。

当時は、なんかお祈りの儀式を受けているくらいに思っていませんでしたが、こうして振り返ることでその素晴らしさ、稀有な経験をしたことに改めて気づくことができます。

弓矢対決

2月12日(3日目) 10:00〜

新年の儀式を終えた頃、ようやく太陽があたり初めて気温が上がってきました。

ドルジさんが集落を少し案内してくれるというので、少しお散歩に出ました。

そして、ドルジさんのお宅のすぐ上のあたりで、村の若者達が何やら弓矢を行っていました。

大体30〜40m離れた、木の的に当てられるか、競っていたのですが、これもただの遊びではなく、この年の「福男?」を決める伝統的な行事なのだとか。

歌に合わせて、一人一人矢を射っていきます。

そして、私たちチームお坊さんも参加することになり、1人3投ずつくらい行いました。

これが思いの外、的が遠くて小さく、さらに矢が1本1本手作りで形が違うため、真っ直ぐ飛ばすことすら用意ではありません。

村の若者も苦戦する中、案の定チームお坊さんも1人、また1人と外していきます。

私もあまり人のことを言えませんが、森山さんとか絶対当たる気配が無い構えをしてますね。笑

みんなが外していく中、ついにある男の放った矢がこの的に当たることになります!

それはこの男!

そう!鈴木さんです!

村人も大コーフンです!

と、いうことで今年のこの村の福男は、日本からお越しの鈴木さんに決定しました。笑

地震の爪痕

弓矢対決が終わり、また集落を歩いていると、やはりところどころで、地震の爪痕が散見されました。

ドルジさんが仰るには、この場所は山岳地帯でどんなに被害が大きかったとしても、政府やNGOなどの支援が入りにくい場所だと言っていました。

ドルジさんの家も、仮補修で住んでおり、当時建て替えを検討していても、中々その工事もすることができなかったそうです。

日本とはまた違った面で、災害の恐ろしさや復興への険しさが垣間見れた気がします。

ドルジさんを介して、この村の人たちに日本から持ってきた、古着を寄付し、私たちなりの支援をさせていただきました。

支援をした!っていうほどのことでは無いのかもしれません。
しかし、こうして被災をした現状を見ること、そしてそこでの生活ぶりを体験することも、広い意味での支援になるのかもしれません。

ヘランブ の山岳民族を後にして

2月12日(3日目) 12:00〜

1日お世話になった、ドルジさんのご両親に挨拶を済ませ、私たちはまたしてもあの悪路を通り、カトマンズへと戻るのでした。

ドルジさんのご両親と、私の母

この道を通るのが2回目ということもあり、少しはこの悪路と上下の揺れには慣れましたが、それでも油断したら天井に頭がぶつかってしまいそうです。

しかし、ジープに乗っている私たちですら、この揺れに耐えることで精一杯なのに、途中で衝撃の光景に出会いました。

それは・・・

大勢の人間を屋根に乗せたバスです!

日本でいうところのはとバスみたいな感じでしょうか?

風が気持ちよさそうですね。

なんて、呑気なこと言っている場合じゃなりません。

私だったら、ソッコーでバスの上から振り下ろされるでしょう。

まさしく、巨大な鉄のロデオボーイ!

この揺れを体験しないと、この凄さ驚きが伝わりにくいですが、ただ言いたいことは、この揺れで平然とバスの上に乗っているネパール人凄い!と、思った経験でした。

そして6時間かけて、ようやくカトマンズに到着したのでした。

続く

次回予告

今回は、ガイドのドルジさんのご実家での出来事をお送りしました!

次回は、カトマンズに戻ってからの出来事と、ついにお釈迦様の生まれ故郷、ルンビニに着くところまでお送りできたらと思います!

「vol.5 ロサルの祈り」をご覧いただきありがとうございました(^^)

 

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