お寺のお盆、いろいろ

猛暑と台風10号が全国的に影響を及ぼし、新幹線の運休イベント事の中止など、今年は例年よりもどこか落ち着かないお盆になりました。

私西田も6日から栃木県足利市にあるお寺、明林寺みょうりんじに帰ってお盆の準備をし、13日からはお盆のお勤めをしています。

この13日の迎え盆は地域によって、さらにお寺によって形式や風習に違いがあるので、今回は皆様の経験された迎え盆との違いなどをお楽しみください。

というわけで今回は、私の生まれたお寺で行なっているお盆の様子をご紹介します

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おらが村の迎え盆

まず、お盆には7月と8月で、地域によって異なる場合があります。詳しくはこちら

私の地元、栃木県足利市のお盆は8月、13日が迎え、16日が送りとなるわけです。

迎え盆の日は早い方で朝7時頃からお参りの方が来はじめ、19時頃まではお参りの方が絶えません。

お参りの際、私が生まれたお寺では、まずはじめに本堂にお参りをしていただきます。

ここで本尊様に盆句ぼんく(供)」をお供えし、いわゆるお中元の挨拶をするのです。

その後、本尊様がおられる須弥壇しゅみだんと対になる、施食棚せじきだなという祭壇にある灯明を提灯ちょうちんに移して明かりを灯します。

そうして提灯に灯がともったら、お墓参りをしてご先祖様をお迎えする、というのが私の地域の「お迎え」です。

昔は迎え盆というと、この地域の方の多くは昼間仕事をして、夕方お風呂に入ってから浴衣に着替え、下駄を履いて提灯を持ってお参りに来られたそうです。

お参りが済み、お家に帰る方々の持つ提灯の明かりが、お寺から伸びる田んぼ道にポツリポツリと灯る景色が、なんとも綺麗だったと師匠は言っていました。

夏の暑さが厳しくなったためか、朝の涼しいうちにお参りに来られる方が多いため、夕闇の中に提灯の明かりが浮かぶ光景は見られなくなってしまいました。

お参りの方のほとんどが、車で来られるというのも理由の一つかもしれませんね。

あ、車の中では提灯の火は消してしまっていいので、くれぐれも危険のないようになさってくださいね!

「お子様くじ」の始まり

さて、そんな迎え盆ですが、うちのお寺ではある年から、母の提案でお子さん用のくじ引きを用意するようになりました。

対象年齢はざっくりと、中学生くらいまで、なんなら高校生もOK、弟妹がいるなら大学生だってOKという非常にゆるい設定でお菓子が当たる無料のくじ引きを引いてもらいます。

すると、これがお子さんに好評で、始めて3年後には駐車場からくじ引きの場所までまっすぐ走ってくる子もいるくらい、お寺でのくじ引きを楽しみにしてくれるようになったのです。

そして、年を経るごとにお墓参りに来られるお子さんの人数も徐々に増えていきました。

もしかすると「お寺行くとくじ引きあるよ!」と乗せられたお子さんもいたのかもしれません(作戦通り)。

それと同時に「大人にはなんかないん!?」と冗談で言うお茶目な方との会話の中で、確かに大人にも何かできたらいいなあと、くじ引きの企画者である母は考えるようになるのです。

お寺のかき氷

そして今から7年前、母が考えたのがかき氷でした。

氷屋さんで、機械、氷、カップ類全て注文できることがわかり、この年初めてお参りに来られた方全員を対象とした無料のかき氷屋さんがオープンしたのです。

そのかき氷は大好評で、お子さんはもちろん、ご年配の方の中には「何十年ぶりに食べたけどおいしいねえ!」と言ってくださる方もいます。

境内のテントと椅子を用意し、お参りに来られた方がみんな涼みながらかき氷を召し上がっている様子は、昔のお寺を思わせてくれるような心和む光景です。

こうしてかき氷は、このお寺の定番となっていったのです。

このかき氷が、お寺のお盆に与えてくれた影響は意外なところにもありました。

私が自分のSNSでかき氷をやっていることをつぶやくと、檀信徒ではない、たまたま帰省していた中学の同級生が遊びにきて「手伝うよ!」と言ってくれるようになったのです。

他にも、都内で禅活のイベントに参加してくれた方の地元がたまたま近く、いらっしゃったりもしました。

私は自分の目の前で、昔からお世話になっている地域の皆さんや遠方の檀信徒の方、懐かしい友人、イベントの参加者さんにいたる老若男女が楽しそうに過ごされているのをみて、お寺という空間の持つ可能性を肌で感じることができました。

お盆いろいろ

今回は私の地元、私の生まれ育ったお寺のお盆の様子をご紹介しました。

また、迎え盆のお参りに来られた方と挨拶を交わしたり、かき氷をお出ししてよかったのは、翌日の棚経で檀信徒の方、特にお子さんとの距離が近くなることです。

それまでは恥ずかしがって私がいる仏間に出て来なかったお子さんも、「かき氷のお兄ちゃん」だった私がお経をあげにいくと、横でお経を聞いていてくれます。

当然、何をやっているのか、ましてどんな意味があるのかがわからないとは思います。

しかし、夏休みにお寺に行ってかき氷を食べて、お坊さんのお経を聞いたという経験が、そのお子さんにとっての仏教の原体験になれば嬉しいなと思っています。

まずは禅活メンバーのお寺を手始めに、来年は色々な地域・寺院のお盆の様子を聞けたらおもしろいですね!

ということで、今回は様々な違いのあるお盆の中から、私が生まれ育った栃木県足利市の明林寺のお盆の様子をお伝えしました!

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