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曹洞宗に伝わる調理の心得、『典座教訓』。
ここには調理を通していのちを生かすという仏教の実践方法が示されています。
その淘米の白水を取りても、亦虚しくは棄てざれ。
(たとえ米の研ぎ汁であっても、不用意に捨ててはいけない。)※西田私訳
まだ精米技術が発達していなかった時代、米の研ぎ汁には今よりもずっと多くの糠が残りました。
そしてそれは大切な栄養源でもあったことから、研ぎ汁はただ流してしまうのではなく、布で濾して無駄なく使っていたようです。
曹洞宗はそうした生活の知恵を修行へと昇華し、いのちを生かしきる調理を実践してきました。
そこで、スーパーで売っている見切り品、つまり買われなければ廃棄の可能性が高くなってしまう食材を美味しくいただくのは修行なのではないか!?というのがこちらの企画です。
前回は怪しい匂いを放つ長芋やしんなりした春菊など、個性溢れるいのちを生かしきりました。
そして今回も
①食材は見切り品のみ
②植物性・動物性にこだわらない
③使い切れる量を買う
という3つのルールを守って、食材のいのちを生かしきります!
Contents
買い出し!
さて、まずはこの企画の重要な鍵を握る買い出しへ!
今日はどんな見切り品たちが私を待っているのでしょうか。ドキドキ
当企画御用達のスーパー、文化堂西馬込店さんに入り、脇目もふらず見切り品コーナーへ。
果たして!?
…ゴーヤ、ごぼう、グ、グリンカール(?)。
一旦献立を考えながら店内をうろつき、他に見切り品がないか探します。
途中、今日は諦めてお弁当を買って帰ろうかとも思いましたが、なんとか献立を組み立てて購入!
ゴーヤ¥258、ごぼう¥158、グリンカール¥100で、¥516のお会計。
それでは帰って調理します!
今回の献立
帰宅し、レシピをイメージします。
グリンカールというのはレタスの仲間のようで、これといってクセは無いようです。
それに比べてゴーヤさんととごぼうさんときたら…クセがすごい。
まあ、これを生かすのが見切り品クッキングの醍醐味です。
ということで今回の献立はこんな感じにします。
- ごぼうの磯辺揚げ
- ごぼうのきんぴら
- ごぼうとゴーヤのサラダ
- ゴーヤのおひたし
- ごぼうのピクルス
どうですか!頭文字全部「ゴ」ですよ!!
…というわけで調理に移ります!
調理!
今回要となるのは諸々の下処理。
特にゴーヤは丁寧にやっておきたいところです。
まずは種の部分をスプーンでキレイにとって薄切りにし、塩と砂糖で揉んで少し放置。
ごぼうは洗って、金タワシの代わりに包丁で擦りながら表面の皮を剥きます。
集中しすぎて写真撮り忘れましたが、今回の用途に合わせて、太い部分は天ぷらときんぴら用、細い部分や先端はサラダとピクルス用に切り分け、酢を少し入れた水にさらしておきます。(こうすると色が白くなるらしい)
最後に、ゴーヤとサラダ・ピクルス分のごぼうを湯通し。
そして、しなびていたグリーンカールは50℃くらいのお湯にさっとくぐらせると少しシャキシャキ感が戻ります。
葉物野菜には応急処置的に使える豆知識です。
最後に、ゴーヤを氷水にさらして下ごしらえは完了です。
ごぼうの磯辺揚げ
◆材料
ごぼう、小麦粉、水、めんつゆ、海苔(あれば青のり)
- ごぼうは包丁幅程度の長さで短冊切りにし、めんつゆを少々加えた水に浸けておく。
- 小麦粉を水に溶き、細かくちぎった海苔を加えておく。
- ごぼうの水気を切ったら2の衣を浸けてあげる。
- グリーンカールを添えて盛り付けたら完成。
ごぼうのきんぴら
◆材料
ごぼう、醤油、砂糖、みりん、酒、ごま油、七味
- 細切りにしたごぼうをごま油で炒める
- 醤油、砂糖、みりん、酒を加えてアルコールが飛ぶ程度に炒める
- 火を止めて七味を加えたら完成
ラー油を加えるのもオススメです!
ごぼうとゴーヤのサラダ
◆材料
ごぼう、ゴーヤ、グリーンカール、塩、胡椒、マヨネーズ、七味
レシピは至って簡単!
- ごぼうは細切り、グリーンカールも合わせて小さめに切る
- 上の材料を混ぜて完成!
個人的には胡椒を多めにするのがオススメです。
ゴーヤのおひたし
◆材料
ゴーヤ、水、だしの素、鰹節、ポン酢
- 下処理で氷水からあげたゴーヤを、だしの素を溶いた水に浸けておく。
- 食べる直前に水からあげて、鰹節、ポン酢をかけて完成!
下処理をしっかりしないとかなり苦くなります。
ごぼうのピクルス
◆材料
ごぼう、水、酢、砂糖、鷹の爪、ローリエ
- 鷹の爪は種を取り除いておく
- ごぼう以外の材料を火にかけ、沸騰する直前に火を止める。(ごぼうは下処理の段階で加熱済)
- 粗熱がとれたら保存用の瓶に空け、ゴボウを入れて冷まし、冷蔵庫へ。
- ごぼうに味がついたら完成!
実食!
ということでなんとか5品できました!
実を言うと取り掛かるのが遅かったせいで完成が夜中になってしまい、一晩おいて翌朝の実食となりました…。
ここに冷凍していたご飯と海藻スープをゲストに迎えて、なんとご機嫌な朝食!
いただきます!!
まずはごぼうの磯辺揚げ。
これ、実は永平寺にいる時に編み出して、同期の修行僧がえらく気に入ってくれたメニューなんですよね。
その時は大きめのごぼうを薄切りにして一枚ずつ揚げたんですが、今回は青のりがないのとかき揚げなのでその味やいかに!
うまい!
希釈しためんつゆに浸して下味をつけているので、少し塩をふるだけでちょうど良い塩気です。
それとごぼうの歯応えが満腹感を与えてくれます!
止まらなくなるやつや!
続いてごぼうのきんぴら。
言うに及ばず。おいしい!
みなさんが想像しているそのきんぴらの味です!
そしてゴボウとゴーヤのサラダ。
違う種類のシャキシャキ感とゴーヤの程よい苦味があって、新しい!
マヨネーズを使っていますがくどさを感じません!
次はゴーヤのおひたし。
うん、下処理をしたので苦味もほどよく、あっさりしています。グー!
最後にごぼうのピクルス。
実はこれも何回か作ったことあるんで、知ってるんですよね。美味しいの。
…はい美味しいー!
この時期はカブとかごぼうとか、根菜のピクルスオススメですよー!
ごぼうの食感もあって、今回はかなり満腹!
サラダは翌日分、ピクルスはしばらく副菜として食卓で活躍する量になりました。
揚げ物が入ると満足感が違いますねえ。
欲を言えば汁物も作れればよかったかも…。
ともあれ、無事完食!
ごちそうさまでした!!
今回の感想
今回は廃棄となったのはごぼうの皮とヒゲ根、ゴーヤの種周りとグリーンカールの芯でした。
傷んでいる部分がなかったのでほとんど捨てる部分もなく、なかなか生かせたのではないでしょうか!
味も全体的に満足で、強いて言うなら時間がかかりすぎました。
ただ、食べ物を無駄なく美味しく食べるには丁寧な下ごしらえが欠かせないんだなあと、改めて実感した一食でした。
さあ!ということで今回の自己採点!
4食目:ごぼうとゴーヤで5品!定食
満足度…☆☆☆☆ (味・バランスOK!ただ、できれば汁物まで作りたかった…。)
煩悩度…☆☆☆☆ (ごぼうの磯辺揚げの煩悩度がすごい。止まらない。)
精進度…☆☆☆☆☆(ほとんど無駄なく使えた!)
各採点の基準
満足度…メニューのバランスや量・味などの満足感
煩悩度…おかわりがしたくなるという煩悩が溢れる指数
精進度…どれだけ無駄なく、美味しく作れたか
さて!これから本格的な冬を迎え、次回はどんあ見切り品との出会いが待っているのでしょうか!?