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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。

前回までのあらすじ

7日目

新潟県糸井川市「須沢臨海公園」〜「道の駅 マリンドリーム能生のう

歩行距離20km。

海沿い野宿の宿敵、風に苦しめられ若干寝不足のまま「マリンドリーム能生」を目指します。

しかし、夜にあれだけ苦しめられた風が昼になると一転、私の背中を後押ししてくれました。

マリンドリーム能生に到着し、時間があったので道の駅散策。

ここはカニの直売所として有名なので、そこにはもちろん一面のカニ!カニ!カニ!

しかし、托鉢をしながら歩いている私は、そんな贅沢をするお金も無く、ヨダレを垂らしながら夜を迎えるのでした。

前回の記事はこちら。↓

バックナンバーは以下から読むことができます。↓

【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】

今回は、「道の駅 マリンドリーム能生」から上越市「竜泉寺」を目指します。

道の駅マリンドリーム能生の夜

8日目 am6:00〜

やっぱり眠れん!

イメージ図

またしても一晩中吹き付ける風により、中々寝付くことができませんでした。

前回の記事で、風そのものが悪いのではなく、その善し悪しを判断しているのは私の心だとお伝えしました。

しかし、これはあれですね・・・

良い悪いと寝付けるかどうかは話が別で「諦めが肝心」という言葉もあるくらいです。

海沿いで野宿をするのはもうやめようと心に誓うのでした。

am7:00〜

身支度を整え「道の駅 マリンドリーム能生」を後にします。

 

本日は、修行時代の後輩のお寺である、上越市「龍泉寺」までの26kmの行程を歩きます

ちなみに・・・

ちょっと余談になりますが、読者の皆さまももしかしたら気になっている人がいるかもしれません。

なぜ、こんなに野宿しているの?

もっと知り合いのお寺あるんじゃないの?と。

え?いや、思っていない。と、いう意見を無視してお答えしましょう。

実は、北陸三県(福井・石川・富山)は曹洞宗や他宗のお寺が少なく、そのほとんどは浄土真宗系のお寺で占められているのです。

その割合、なんと7割以上が浄土真宗系のお寺です。

その理由については、浄土真宗本願寺8代目「蓮如上人れんにょしょうにんの影響がとても大きかったようです。

以下、参照

【1から分かる親鸞聖人と浄土真宗】「蓮如上人とは?」

 

そんなわけでで、そもそもお寺も信者(門徒)数もとても多い浄土真宗ですが、北陸三県は特に浄土真宗のお寺が多いのです。

なんなら永平寺周辺のおうちの多くも浄土真宗だったりします。

新潟県からは曹洞宗のお寺も多くなってくるので、これからは野宿する回数も減ってくるかと思います。

皆さんの菩提寺(ご先祖様のお墓があるお寺)の宗派は何宗でしょうか?

是非、ご自身の菩提寺の宗派がわからない方は調べてみてください!

地域によってその特色があるので、一度調べてみると今まで知らなかった発見があるかもしれません。

千と千尋のトンネル

さて、話を戻しましょう。

本日の天気も快晴の中、果てしなく広がる海と平行して、本日もいつもと変わりなくトボトボと歩きます。

歩き始めて、2時間ほどで上越市に入りました。

もしかしたら、かつてこの辺りで松尾芭蕉が俳句を読み、伊能忠敬が測量した場所で同じ景色を見ていたかもしれない。

そう考えると、とても感慨深いものがあります。

はっきり言ってしまえば、歩いていると本当にヒマなので色々な妄想が浮かんできます。笑

だけどそんな妄想もロマンがあっていいのかなと、勝手に解釈しながら歩みを進めます。

昨日と同じく久比岐自転車道を歩いていると、ところどころで映画『千と千尋の神隠し』に出てきそうなトンネルが出現します!

前回もお伝えしましたが、ここは旧北陸本線の線路跡地にサイクリングロードが作られました。

ここに線路が通ったのが明治44年。

おそらく、写真に写っているトンネルのレンガも当時のものではないかと思います。

歴史は感じますが、なんとも不気味なトンネルですね。

ここは映画とは何の関係もありません。

しかし、このような雰囲気のあるトンネルは、「神々の世界」と繋がっているではないか?と、この世とあの世の境界線のような設定にしたのも頷けます。

昼間であろうと薄暗いトンネルの内部。
そこに錫杖の「シャリンシャリン」という音が反響し、もしこの瞬間に人が通ったら物凄い恐怖を感じるだろうなと思いながらも、悠然と闊歩します。

なおえつ海水浴場

16:00〜

久比岐自転車道も上越市側の出口まで歩いてきました。

目的地である「龍泉寺」まで残り4km

当たり前かもしれませんが、今までコンクリートの上を地下足袋で歩いてきました。

いや、そもそも地下足袋はコンクリートを歩くためにあるものではありません。

なぜ、地下足袋で歩き始めてしまったのか・・

時々、少しカッコをつけた自分の選択に少し後悔してしまいます。

慣れてきたとはいえ、徐々に左足にはダメージが蓄積されます。

そんな私にひとときの安らぎを与えてくれた場所がここで現れました。

それは海水浴場です!

ここは「なおえつ海水浴場」という場所です。

砂浜のふかふかのクッションが気持ちいい・・・

このまま永遠に続いてくれないかと、僅かな希望を抱きます。
しかし、海水浴場もそう長く続かず、ひしひしと痛む左足を庇いながら、あと少しだと力を振り絞り歩きます。

通りすがりのおばちゃん

と、そんな時、私の行先からお散歩?ウォーキングをしている凡そ50代半ば頃と思われる女性がこちらに向かってきました。

私はすれ違う人とは無視されようが無視されまいが、必ず挨拶をしていました。

この時も例のごとく、

こんにちは〜

と、ちょっと遠慮しながらも小さく会釈をしました。

そのおばちゃんは立ち止まり、こちらを不審そうに見てきます。

「完全に怪しまれている・・・」

と、思った矢先、その女性が話しかけてきました。

こんにちはー
旅している格好だけど、どこから歩いて来たんですか?

永平寺から斯く斯く然々で、無一文で歩いて帰っています

そうなんですね。
見たところ若いですけど、偉いわねー。
実は、私最近不幸が続いてしまって・・・
ここ1年の間に夫にも両親にも先立たれてしまって、生きる気力を失ってしまって・・・
もう長いこと家を出ることもなく、引きこもっていたんですよね。
それでも何となくこのままだといけないと思って、今散歩していたところなの。

そうでしたか・・・
私は返す言葉に困りました。
こんな時、お坊さんとして何と言えばいいのか。
この女性の苦しみを少しでも和らげる言葉はなんのか。
しかし突然話しかけられたため、中々言葉が見つかりません。

答えに悩んでいると・・・

でも、今あなたと会って生きる勇気をもらえました
みんなこうして前向いて歩いているのよね。
私ももう少し頑張って生きなきゃね。
今日、外に出ること凄い悩んだけど出てきて本当によかったです。
ありがとうございました。
頑張って歩いて帰ってくださいね。
そして、私にお布施として3000円を手渡し、そのまま去っていきました。

私は何を話した訳でも、アドバイスをした訳でもありません。

しかし、そんな何もしていない私から生きる勇気をもらったと言ってくれるのです。
この時、「私個人」というより「お坊さん」が他者に与える影響力の強さを感じました。
日本で仏教が積み重ねた歴史は、私のような若僧ですら他者に勇気を与える存在になってしまうのです。
私は嬉しいというより、お坊さんとして生きるということを考えされられ、身が引き締まる思いがしました。
それと同時に、この旅で私は「自分のための修行」から「他者と共に歩む修行」を一歩ずつ歩んでいることになっていると気づいたのでした。
続く

次回予告

7日目

最近人に会うことが少なかったので、久々に人と話したのがこのおばちゃんでした。

「お坊さんとして生きるって何だろうか?」

「私に何ができるだろうか?」

女性が去った後でも、私の頭の中では様々な思いが反復していました。

この日の目的地まではもう少しです。

次回は、目的地である「龍泉寺」に到着したこと、そして8日目の途中までお送りできたらと思います。

「vol.16 生きる勇気」をお読みいただきありがとうございました(^ ^)

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