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これは私、深澤亮道が福井から岩手までの700Kmを無一文で歩いて帰った物語である。
Contents
前回までのあらすじ
昨年から、週一のペースで書き続けたきた【永平寺から無一文で歩いて帰るもん。】も、気づけばvol.30まできてしまいました。
1話が大体3000字くらいなので、現在約9万字書き綴っています。笑
長編小説と言われる作品がおおよそ10万〜16万字になるそうなのですが、それに迫る勢いです。
駄文、蛇足ばかりで大変申し訳ありませんが、vol.40までには完結させようと思いますので、今後ともお付き合いください。
さて、前回は「名勝 笹川流れ」を超え、山形県鶴岡市に突入しました。
しかし、それと同時に襲ってきた無気力感!
今日の野宿辛いなーと思い商店の前で休んでいると、おばあちゃんから5000円のお布施をいただいたお話をしました。
前回のお話は以下から読むことができます。↓
バックナンバーは以下から読むことができます。
今回は、この旅初めてとなる、旅館に泊まるお話しをしたいと思います。
5000円を片手に
みなさんだったら今手元に5000円あったら何に使いますか?
今の私だったら、もしかしたらお酒に使ってしまうかもしれません。笑
この時の私の選択肢は「旅館に素泊まりする」の一択でした。
前日の野宿により体力が消耗され、流石に2日連続の野宿は今後の旅にも影響が出てしまう。
当初は予定になかった「旅館に泊まりたい」という思いが頭の中にめぐっていました。
本当にどれくらいの確率で、こういう奇跡がめぐってくるのかは分かりませんが、そんな時におばぁちゃんから5000円のお布施をいただきました。
残金が少ない中で、そしていただいたお布施の多くを使ってしまう、旅館に泊まるという決断は本来であれば間違っているかもしれません。
しかし、この時ばかりはこの選択こそが最善の策だと感じていたのです。
素泊まりができそうな宿を探し、歩みを進めます。
モニュメントと夕陽
17日目 16:00〜
素敵な豚さんのモニュメントを超え、さらに北上を続けます。
昨日と同じく、日本海に艶やかであり、そしてどこか寂しい夕陽がゆっくりと沈んでいきます。
ちなみにこの時の私はこんな顔していました。
目に力がない!笑
太陽と一緒に沈みそうな顔してます。
綺麗な夕陽を横目に歩みを進めると、巨大なコケシのモニュメントが現れました。
なんか、モニュメント多くないか!?
笹川流れの「御神体」から「あつみ豚」、そして「巨大コケシ」と続きました。
あまりにも何もない場所なので、一際その存在感をあらわにしています。
この分岐点を右に曲がると、JR羽後本線「あつみ温泉駅」があるそうです。
もしかしたら旅館があるかも?、と思い写真のトンネルの方に歩き始めました。
清水屋旅館
17日目 17:00〜
分岐点から1kmほど歩いたところ。
あつみ温泉駅の少し手前のところに、見た目は普通の民家に見えますが、壁の横には「清水屋旅館」の文字が見えます。
「ここなら泊まれるかもしれない・・・」
と、思いその扉をガラガラっと開けました。
「すみませ〜ん。」
(もしかしたら部屋が空いてたとしても、この薄汚い格好を見て満室です、と断れるかもしれない。)
(もし空いてたとしても、今の残金だと泊まれないかもしれない。)
声を出した後に、数秒の間に色々脳内で考えてしまい、一気に不安が押し寄せてきます。
すると、奥から女将さん?田舎のお母ちゃん?のような女優の渡辺えり似の女性が「は〜い!」と声を張り上げ出てきました。
お坊さんかい!?
へぇ〜、そんな格好で訪ねてきた人、初めてみたよ!
どうしたんだい?
今日部屋空いてたりしませんか?
一晩泊まりたいのですが・・・
2食付で6800円、
素泊まりで3800円ですけれどもどうしますか?
夕食付で5000円でいいよ!
それより、その服そこで脱いでおくれ!
あまり綺麗そうに見えないから、洗濯してあげるよ!
お風呂は湧いたら言うから、少し部屋で休んでておくれ!
え?匂いました?笑
夕食
よくよく考えると、こうして個室で1人で落ち着けると言う時間はこの旅で初めてだったかもしれません。
お寺に泊まれば、知り合いと時間を共有しますし、野宿だとゆったりという空間でもありません。
お風呂で汗を流し、夕飯の時間を待ちます。
ご飯ができたから降りてらっしゃ〜い!
言わずもがな、ここは日本海側です!
そして近くに漁港もある!
と、いうことで新鮮な日本海の幸が食卓を彩ます!
そして、すみません。
写真を撮り忘れたのですが、どうしても雰囲気をお伝えしたく、インターネットからの引用ですが、正真正銘「清水屋旅館」の夕食をご紹介したいと思います!

引用:食べログ
お刺身に、魚の煮付けに、アジフライに、焼き魚!
まさしく魚の宝石箱やー!
と、いう声が聞こえるような気もします。笑
私が行った時は、すこーしメニューが違いましたが、それでも魚づくしだったの覚えています。
それから、忙しそうに動き回る女将さんと少しだけお話ししました。
私がどうして永平寺から歩いているかや、家族で経営している清水屋旅館のことなどなど・・・
本来であれば、素泊まりをお願いしようと思っていたので、いただけるはずのなかった夕食に舌鼓をうち、お腹いっぱいで暖かい布団で眠りにつくのでした。
おむすびのお布施
18日目 8:00〜
もうここまでくると、疲れが完全に取れるという概念は無くなっています。
それでもお風呂とお食事とお布団で寝られることが、これだけ有難いことなのだと、野宿した後はいつも1人で感動しています。
これ洗濯して畳んでおいたから!
もし無い物とかあったら言っておくれ。
身支度を整え、玄関におります。
料理もとても美味しかったですし、洗濯もありがとうございました。
旅が終わりましたら連絡しますので。
それでは、また。
あんた托鉢しているんだろ?
お経でも唱えてくれよ。
あ、すみません。と焦りながら網代笠を頭に被り、お経を唱えました。
私が小さい時は、この辺りもお坊さんが托鉢して歩いていた時があったんだよ。
久々にお経を唱えてもらったけど、やっぱり有難いね。
お経をあげてもらったからにはお布施出さなきゃね。
おむすび握ったから途中で食べておくれよ。
それじゃ、体に気をつけて頑張りなよ!

続く
次回予告
まさか最後に読経を頼まれるとは思っていませんでした。笑
しかも、他のお客さんもいるので、割と小さめの声だったかもしれません。
今回初めて旅館に泊まりましたが、心も体も気力を満たしたところで、次回は鶴岡市を目指します。
しかし、その道中思いもよらぬご好意に私は涙を流すことになります。
本当に多くのことに感動しましたが、最後まで力を振り絞って頑張ろうと思った出来事です。
また、次回もお読みいただけたら嬉しいです!
「vol.30 女将さんの優しさ」をお読みいただきありがとうございました(^^)
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