
2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻。
連日報道される悲惨な戦争の現状に心を痛めている人は、非常に多いことでしょう。
停戦に向けた協議も行われているようですが、両国の主張は平行線といった印象で、事態がいつ収束するのか、どのような決着を迎えるのか、まったく読めません。
こうしている今も、掛け替えのない命が失われています。
現状は経済制裁や国連による批難決議など、ロシアへの圧力が強められ、ウクライナへの支援が盛んに勧められています。
しかし、ウクライナが正義で、ロシアが悪、と単純な図式で理解してしまうことには大きな危機感を覚えます。
ウクライナの人たちに戦うための武器を提供することは、良いことなのでしょうか。
国際社会でロシアが孤立を深め、一般市民の生活が脅かされているのは仕方がないことなのでしょうか。
もちろんそうせざるを得ない、そうならざるを得ないという状況なのでしょうが、私には判断できません。
今すぐに戦いをやめてほしい。
ひとりでも多くの人が助かってほしい。
そう思いながらも私たちにできることは限られています。
突如として始まってしまった、ロシアによるウクライナ侵攻。
心が痛み、行き場のない、やる方ない思いを抱える中で、急に聞きたくなった2つの名曲がありました。
今回はその2つの名曲をご紹介します。
Contents
聞きたくなった名曲~その1「老人と子供のポルカ」
聞きたくなった名曲その1は
左卜全とひまわりキティーズの「老人と子供のポルカ」です。
この曲が発表された当時、私はまだ生まれていませんでしたが、筋肉少女帯の大槻ケンヂさんが自著や「踊るダメ人間」などの曲中において、たびたび引用やオマージュをしていたことで存在を知りました。
軽妙なリズムで「ズビズバーパパパヤー」と歌いあげる愉快な印象の楽曲となっていますが、その歌詞には痛烈な社会風刺が込められています。
また、軽快な曲調とは裏腹に、この歌の根底には深い嘆きがあります。
学生運動の内ゲバ、増加の一途をたどる悲惨な交通事故、激化する交通機関のストライキ。
自分でどうにかできる範囲を超えている出来事に対し、
「やめてけれ」
と願いながらも、何もできず。
「どうして どうして」
といくら問うても、答えは出ず。
「神様 助けて」
と、人間を超えた存在にすがることしかできない。
ちっぽけで無力な人間が、それでも祈らず、願わずにはいられない。そんな姿が浮かびます。
聞きたくなった名曲~その2「パリは燃えているか」
聞きたくなった名曲その2は、
加古隆さんの「パリは燃えているか」です。
NHKスペシャルの「映像の世紀」のメインテーマとして、ご存じの方も多いことでしょう。
作者の加古隆さんは、この曲のキーワードについてこのように答えています。
「100年という歴史のうねり、そしてスケール感。これがまず一つです。そしてもう一つは、運命に翻弄されながら悲惨な戦争を繰り返す、愚かで、だけど掛け替えのない人間」(引用元:「パリは燃えているか」 加古隆氏インタビュー&演奏)
まさにこのコメントの通り、
不条理、不合理に翻弄されつつ、
悲しさ、切なさを繰り返しつつ、
時に希望を抱き、
あらゆるものを内包しながら、それでも生きていく人間の姿を感じます。
この曲のタイトルである「パリは燃えているか」は、ヒットラーが発した言葉として知られています。
第2次大戦中、ナチスドイツ占領下のフランス、パリ。
連合国の軍勢が迫る中、ヒットラーはパリを徹底的に破壊しつくせ、と命令を下します。
しかし、その命令は遂行されることはありませんでした。
司令官であったコルティッツ将軍が、絶対であるはずの、その命令を無視したためです。
「パリは燃えているか」
この言葉には、時に愚かで、蛮行に走ってしまう人間の危うさと、
それを押しとどめることもできる人間の可能性。
その両側面が描かれていると感じます。
おわりに
現在も進行している、ロシアによるウクライナ侵攻。
それに対して、私たちがすべきことは何でしょうか。
私は、
平和を祈り、願うこと。
武器提供に繋がらない、ウクライナへの人道支援。
だと、考えます。
左卜全さんが歌うように、無力な人間には祈ること、願うことしかできないのかもしれません。
しかし、祈りや願いは、無力ではありません。必ず伝わります。
20世紀に繰り返された悲惨な戦争を経て、平和への祈りは広く世界に共有されました。
当局の強力な統制下にあるロシアにおいて、自らの身の危険をかえりみず、戦争に反対するデモが繰り返されているのは、平和への祈りや願いが人の心に届いているからと考えられはしないでしょうか。
最後に、ウクライナへの人道支援を考えている人のために、寄付金の送付先をまとめたサイトのリンクを貼っておきます。
【緊急支援】ウクライナへの寄付はどこが良い?支援方法や支援団体を紹介!
【ウクライナ支援】寄付金の受付窓口のリスト。大使館、赤十字から「国境なき医師団」まで
一刻も早く事態が収束し、一人でも多くの人が救われることを願って本記事を終えます。