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先週から始まった不定期更新企画【僧侶的よろずレビュー】

ここでは禅活-zenkatsu-メンバーが触れた本・映画・食べ物などなど、ジャンルを問わずご紹介していきます。

前回は絵本作家ヨシタケシンスケさんのエッセイ集をご紹介しました。

今回本というよりは尊敬する一人のお坊さんのご紹介です。

著者、南直哉老師の言葉

人には人生のターニングポイントになる言葉との出会いがあります。

人生の節目に勇気をくれたり、視界を広げくれたり、道を示してくれる言葉。

私にそんな言葉をくれた方の一人が南直哉みなみじきさい老師という曹洞宗のお坊さんです。

それは永平寺での修行中のことでした。

僧侶という道を歩み始めるも、まだまだ先のことはおろか、修行中のことで精一杯だった頃に、永平寺内で南老師の特別講義がありました。

正直なところ、永平寺内での講義には内容が全くわからず、言葉も難しい、睡魔に襲われるような講義もあります。

どんな講義なんだろう、そう思いながら待っていると、入ってきたのは身長が180cm近くあり目つきの鋭い方でした。

老師と言ってもまだ50代のその方は、目つきは鋭いままに、毒舌とユーモアを交えて仏教との向き合い方をお話しになりました。

そこで老師が仰った言葉が、今でも私の道標になっています。

「いいか諸君!住職は職業だが、僧侶は生き方だからな!

なるほど!と思いました。

僧侶という生き方を選んだ人が選んだ職業が住職だったのかと。

僧侶を「職業」と言うことへの違和感が溶けると共に、この道の歩き方を示された気がしました。

この言葉は、今でも常に私の僧侶としてのスタンスを支えてくれています。

今回ご紹介するのは、そんな南老師が2017年に出された本、「禅僧が教える心がラクになる生き方」(アスコム)です。

南老師の経歴

まず簡単に南直哉老師をご紹介します。

現在、青森県にある恐山の院代と福井県のお寺の住職をお務めになる南老師。

もともとはお寺の生まれではないものの、重度の小児喘息で「死」を身近に感じ続けた経験から、ご自身を見つめる道として仏教を選び、出家をされました

そして永平寺で約20年の修行生活を送りますが、そのあまりの怖さ・厳しさから「ダース・ベイダー」と呼ばれ恐れられたそうです。

そんな南老師は今も自らの生死という人生最大の問題と向き合いながら、一般の方々の悩みに応えたり、講演や執筆などの活動をされています。

仏教に救われたからこそ出る言葉

これまで、すでに南老師は何冊も本を出してこられましたが、私が修行中にあの講義を受けたあとすぐに読み、感銘を受けたのが「語る禅僧」という一冊でした。

「語る禅僧」(ちくま文庫/2010年)※商品ページに飛びます

元々コラムとして連載していたものを中心に掲載した短編集で、私は初めて仏教語を使わずに語る僧侶の言葉に出会いました。

様々な人との出会いから、南老師ご自身の悩みや葛藤まで、とても深いところまで掘り下げながらも専門用語は使わない。

それは仏教を知識として蓄えただけでなく、自身の問題を解決するために咀嚼し、消化した「仏教に救われた」方だから口にできる言葉なのだと思います。

まさに僧侶を生き方として選ぶとはこういうことなんだなと、改めて思わされました。

「禅僧が教える心がラクになる生き方」レビュー

そして、今回ご紹介する南老師の著書「禅僧が教える心がラクになる生き方」は2017年に出版されたものです。

「生きる意味なんて見つけなくていい」

「置かれた場所で咲けなくていい」

という刺激的な言葉が本文から抜き出されて帯に書かれています。

その内容はというと、各章ごとにテーマを設け、私たちが言葉にしきれなかった「生きにくさ」を代弁してくれているように感じます。

自分の中にあるモヤモヤや納得のいかなさ、不安や焦りの正体を言葉にされることで自分の向き合うべきものにも気づくことができるのではないでしょうか。

正直なところこの本は、今が順風満帆で悩みもない、知識として仏教を身につけたいという方にはピンとこないかもしれません。

しかし、先ほどご紹介した「語る禅僧」同様、自分自身が仏教という生き方に救われた人から紡がれる言葉というのは、難しい言葉ではないのにその精神性に触れることができるので、急に道が開けたような感覚を得ることもあります。

人間関係や夢、そして死…。

人生に悩み、もしくは正体のわからないモヤモヤを抱える方は一度南老師の言葉に触れてみると、発見があるかもしれません。

章のテーマごとに短いお話が書かれているので、一気に読み進めるより、1話ずつゆっくり読むのがおすすめです。

「禅僧が教える心がラクになる生き方」(アスコム/2017年)※商品ページに飛びます

 

☆こんな人にオススメ☆

・社会生活の中に悩みがある人

・長文を読む時間が無いという方

・自分の「死」について考えることがある人

・今後の歩み方に悩んでいる僧侶

 

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