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不定期更新企画【僧侶的よろずレビュー】。

ここでは禅活-zenkatsu-メンバーが触れた本・映画・食べ物などなど、ジャンルを問わずご紹介していきます。

前回は初めて映画をご紹介しましたが、今回は再び本。

ブックレビューにならないようにアンテナ広げなれば(汗)

さて、#6となる今回ご紹介するのは、人気ラジオ番組の企画から書籍化された「拝啓 元トモ様」という一冊。

元カレでもなく元カノでもなく、元トモ

つまり、疎遠になってしまった友人について語られるわけです。

心のどこかに存在すら忘れられた記憶の扉が開く一冊を、今回はご紹介いたします。

タマフル&アフ6

まずはこの本の出自となるラジオ番組についてご紹介します。

実家の部屋にテレビがなく、暇つぶしのつもりでMDコンポからFMアンテナを伸ばしてから幾年月。

テレビがあってもラジオ、Youtubeでもラジオ番組を聴くほどのラジオっ子になった私。

高校生の頃に聴き始めたTBSラジオ「伊集院光深夜の馬鹿力」バナナマンのバナナムーン(現バナナムーンGOLD)」が、人前で話すという現在の活動の基盤となったと言っても過言ではありません。

その同局、TBSラジオで長くラジオ番組を続けて来られたのが、ラップグループ「RHYMESTER」のMC、宇多丸氏。

TBSラジオHPより

私の大好きなラッパーの一人です。

早稲田大学のブラックミュージックサークルでグループを結成した「文化系HIP-HOP」を自称する宇多丸氏は、トーク力や知識量、ユーモアセンスなど活かして多方面で活躍されています。

そんな宇多丸氏がパーソナリティを務める番組が、毎週月〜金曜の18:00から放送されているTBSラジオの「アフターシックスジャンクション(通称アフ6)」です。

番組HP

今回ご紹介する「拝啓 元トモ様」は同番組と、前身となる番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル(通称タマフル)」(2007年〜2018年)で大きな反響呼んだコーナーが書籍化されたもの。

この「疎遠になった友達〜元トモ〜」というコーナーでは、自分があんなに仲よかったのに気づけば疎遠になった、あるいは小さなきっかけで関係にヒビが入ったて修復不可能に…などなど、様々なケースでの「元トモ」エピソードが投稿されます。

実は私は、この番組自体は夕方の時間帯かつ帯番組ということで聴くことがあまりなく、このコーナーの存在も知らずにいました。

しかし、なんてすごいものを聞き逃していたんだ!と今では後悔しているほどです。

それほどに文章としても心を打ち、時にはささくれ立たせる素晴らしい内容なんです。

そしてそれに対する宇多丸氏や宇垣アナのコメントがまた秀逸で…。

心の何かに触れたのか、電車で読みながら何度かモジモジしちゃいました(笑)

それではここから少し、内容に触れてみましょう。

元トモ色々

リスナーから投稿された元トモエピソードは、文章が抜群に上手なものから、感情が全面に出ているものまで様々で、その方の世代や地域、性別などで本当に一人一人の色が異なります。

平成3年生まれの私はニンテンドー64で遊んでいたエピソードなどは、小学生の時に船山くんの家でホットケーキをご馳走になったことを思い出しました。

そして「なぜそんなことで」という小さなきっかけで疎遠になってしまった話や、当時の自分のプライドから友人の成功や優しさを受け入れられなかった話などを読み進めていくうちに、幼稚園、小学校、中学校、高校と、それぞれのメインの思い出に隠れた「元トモ」との記憶の扉が開きかけるのです。

そんな中で完全に開いてしまった扉もあります。

いや、もしかしたら開いてはいたけど見ないようにしていたのかもしれません。

私もここで一人元トモエピソードをご紹介します。

元トモ・F君

小学生の頃仲の良かったF君は、スポーツ万能で算数も得意、ドッジボールでは勝利をもたらす神として君臨する男の子でした。

一方私は球技と走ること全般が苦手でゴリゴリの肥満児、BMI指数は入学と共にレッドゾーンに入っていました

そこで私がクラスで生き残る術となったのは、ユーモアです。

しかし今思えばそれは履き違えたユーモア、別名迷惑だったのです。

私がF君をいじり、彼がツッコミでハード目の肩パンチ、という構図を女子が笑ってくれたこともあり、私は居場所を見つけた気分でいました。

しかし、2クラス48人の小学校から、7クラス200人の中学校に入学した後、たまにすれ違った彼に話しかけても言葉が返ってくることはありませんでした。

私はその時、彼にとって私のいじりやイタズラはただの迷惑に過ぎず私は狭いコミュニティ内で「関わらざるを得ない人」になっていたことにようやく気づいたのです。

あれから10年以上が経ち、別の友人の結婚式で再会した彼が私に私に言った「いや〜としくんあの頃より落ち着いてよかったよ」という一言は、長い年月をかけてあの頃の自分がようやく薄まっている、でもやはり立ち位置は変わらないということを教えてくれました。

まだ幼い時代、トムとジェリーのような関係だと勘違いしていた私の認識の甘さが生んだ元トモエピソードです。

出会って別れて、変わっていく。

人は、変わろうと思うなら自分の中ではなく、自分が関わってきた人間を思い出すべきだと、私は思います。

今の「私」は人との関わりの中で構築された、いわば「他人の蓄積」でもあるからです。

信頼し合えるようになった人、疎遠になった人、全部ひっくるめて私の体に刻まれた記憶です。

別れが明確な元恋人よりもずっと曖昧で、ほろ苦かったり、恥ずかしかったりする「元トモ」ともとの記憶を今、振り返ることは、思いがけない気づきをくれる場合があります。

この本の前書きで、宇多丸氏はこう綴っています。

 

人間というものが、絶えず変わってゆく存在であるかぎり、人との関わり方も必然、変化・変質してゆかざるを得ない。その意味で、本書に収められた「元トモ」をめぐる物語とは、誰もが大なり小なり経験する、一種の成長のプロセスなのではないでしょうか。

 

疎遠になってしまった人、別れてしまった人、しくじってしまった人、そういう人との関係を、現代では忘れることを解決策としたり、黒歴史として封印してしまったりします。

皆さんも無意識のうちに厳重に鍵をかけて封印してしまった元トモの記憶はありませんか?

これを読んだら、そんな鍵が1つ2つ、外れるかもしれません。おすすめです。

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☆こんな人にオススメ☆

・通勤などで短編を少しずつ読みたい人

・ノスタルジックな気分に浸りたい人

・封印された記憶があるような気がする人

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