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禅活-zenkatsu-が毎月開催しているワークショップ、【ほっと晩ごはん】。
今月はメニューも作法も一風変わった会になりました!
ここではそのレポートとして、夏の終わりにぴったりな麺のレシピ、そして麺を食べる食作法の様子をお伝えします。
Contents
今回の献立&スペシャル食材
さて、今回は一年ぶりの麺料理の回。
昨年の麺料理はこちら。
9月とはいえ暑い日が続く中、さっぱりと食べられる献立をご用意しました。
このワークショップでは、メンバーの地元で採れた食材などを使うことがあるのですが、今回も私西田の実家で採れたミョウガ、ピーマン、そしてゴマをご用意しました。
と、そこに北海道出身の我らが久保田智照の実家からとんでもないスペシャル食材が。
それは…。
松茸!!
久保田さんのお師匠さんが地元の山で採って来られた天然の松茸を一人一本という、スペシャル献立になったのです。
献立
ということで今回の献立はこちら。
素麺
冷や汁
天ぷら(松茸・モロヘイヤ)
茄子とピーマンの揚げ浸し
漬物
調理&配膳
18時半、参加者の皆さまには受付が済んだ方から簡単な調理と配膳を行っていただきます。
恒例の焼き茶作りや
盛り付け・漬物切り
など、僧侶と参加者の皆さまで協力して行います。
そして、作業は今回のメインでもある冷汁作りへと移ります。
冷汁のレシピ
冷汁に使う材料はこちら
ゴマ、きゅうり、しそ、ミョウガ、味噌、みりん、酒、白だし、黒糖(砂糖)、氷。
このメニューは私の祖母が夏に作ってくれるメニューで、現在は母に引き継がれている我が家の定番の味です。
実家で作る時は通常のめんつゆを使いますが、今回はこまきしょくどうさんおすすめの白だしを使いました。
①ゴマを炒る&擦る
まずは生ゴマを炒っていきます。
今回はIHのヒーターを使ったので、フライパンを振らずに木べらで全体を大きくかき混ぜるように、強火で短時間加熱します。
ここで弱火にすると、熱が入り過ぎて苦くなってしまうので気をつけましょう。
木べらは常に動かし続けるというよりは、混ぜて・止めてを繰り返し、ゴマがパチっと跳ねるのを見逃さないようにするのがポイント。
炒ったゴマはすり鉢に空けて、すりこぎで擦ります。
少しゴマの油がで出るくらいまでよく擦るとより濃厚な味になるので、頑張って擦りましょう。
参加者の皆様に交替で擦っていただき、ゴマの準備は完成です。
②味つけ
ここに、アルコールを飛ばしたみりんとお酒、お味噌、黒糖、白だしを加えてさらに擦り合わせます。
特に今回はこまきしょくどうさんの方針で黒糖を使ったので、塊が残らないように気をつけました。
味は黒糖のまろやかさと味噌の相性が良くて、個人的には白砂糖より好みでした。
この後、きゅうりと氷の水分が加わるので、ここでは濃いめに味をつけておくのがポイントです。
③具材を入れる
具材はきゅうり、しそ、ミョウガの3種類。
きゅうりはスライサーで薄切り、しそとミョウガは千切りにします。
これらをすり鉢に具材を加え、よく混ぜます。
きゅうりがしんなりしてきたところで氷を入れたら、冷汁の完成です。
いす坐禅&食作法
少し時間がかかってしまい、若干遅れましたが無事に準備が整いました。
今回作法の案内を務めるのは深澤亮道さんです。
いす坐禅
このワークショップでは、最初に必ずいす坐禅をします。
はじめにいす坐禅をすることで、自然と1日の忙しさや慌ただしさから心が切り替わっていくからです。
姿勢を調え、呼吸を調え、わずかな時間ながら静寂を味わいます。
合掌一礼をして終了。
これから、食事にはいります。
食作法
いす坐禅の後、麺と冷汁の配膳が終わり、献立が出揃い、はじめに作法のご案内。
禅活が推奨している食作法は、日常生活で活かせるよう、曹洞宗の『赴粥飯法』という書物にある作法や精神性を解釈してアレンジしたものです。
参加者の皆様に守っていただくのは以下の3つ。
①器やお箸など、食器は両手で扱う
②食べる時は器を口元まで持ち上げる
③箸や匙の先を前(人)に向けない
ここに作法を絞ることで、精神性を踏まえつつ、ご家庭や外食先でも守れるような作法の実践を推奨してきました。
麺の食べ方
実は、麺を食べる時の作法というのは書物などでの正式な規定はありません。
そこで、先ほどと同じように作法を噛み砕いた上でアレンジをしました。
『赴粥飯法』の最も教えに忠実に行うと、応量器という専用の器で食べる際、おかゆは一番大きな器から、二番目の器に匙で移すという作法があります。
そこで今回は素麺が入った器を持って、一口分ずつ冷汁の器に移すという形にしました。
作法の意義
ご家庭で素麺を食べる時はつゆが入った器を片手に持って麺を取る食べ方が一般的でしょう。
私も普段はそうです。
それに比べると、今回行った作法のように、毎回麺の器を持って、麺をつゆにいれて、麺に器置いて…とやるのは正直まどろっこしいかもしれません。
しかし、この一つの所作が、食事全体の丁寧さを生み、食事との向き合い方が変わってくるのです。
実食&茶話会
以上のような、少しイレギュラーな作法で食べる今回のほっと晩ごはんですが、メニューはどれも旬の食材を使った魅力的なものばかり。
作法を実践しつつ、味わっていきましょう!
全員で「五観の偈」をお唱えして、いただきます!!
実食!
まずは素麺を冷汁につけて一口。
今年初もののミョウガの香りとゴマの濃厚な味、そこにしそや黒糖、味噌の味が相まっていい感じです!
我が家の味にするにはもう少しだけ味を濃くしてもよかったかもしれませんが、美味しい!!
次に、茄子とピーマンの揚げ浸し。
今回の味付けは大根おろしと、なんと梨おろしを合わせて、すだちと白だしを加えた、こまきしょくどうスペシャルです。
すだちの爽やかさにほんのりと梨の甘み、大根の辛みが加わって、これは家でも実践したい美味しさ!
そしてついに、天ぷらです。
まずはモロヘイヤ。
しそ、春菊、明日葉然り、葉物の天ぷらが大好きな私はこのモロヘイヤもかなり気になっていたんです。
サクッ!
あぁ…美味しい…。なんてこった…。
これは私のドストライク!
そしてついにきました。
M・A・T・S・U・T・A・K・E!
キングオブ茸、松茸様です!
いただきます!
シャキッ!フワァ…。
食感と香りがたまりません…。
これが天然物の…実力ッッ!
こんなに美味しいものが家の近くで採れてしまうんだもの、久保田さんのような大食漢が生まれるわけだ…。
恐るべし北海道。
そして久保田さんのお師匠様、本当にありがとうございます。
旬の食材を丁寧にいただき、最後は焼き茶と漬物で器を綺麗にして、合掌。
ごちそうさまでした!!
茶話会
今回の茶話会の担当は久保田さん。
「五観の偈」の「一つには、功の多少を計り、彼の来処を量る」という一節に関して、「食べることと働くこと」についてお話ししました。
まず、東京都の最低賃金を踏まえ、身近にあるファストフードを食べるのに必要な労働時間を計算します。
時間にすれば1時間働けば何かしら食べることができる現代で、その一食にはどんな価値があるのか。
「食べていくため」に人は働きます。
しかし、その食事の一食、例えば松屋の牛丼380円分なら380円分の労働の価値しかないか、というとそうではありません。
提供してくれた人、食材を運んだ人、食材を作った人、その一食に関わった全ての「いのち」とのご縁がその丼にはつまっています。
そしてそれをいただく自分もまた、今まで生きてきた時間、その間に食べたもの、関わった人やモノ、全ての「いのち」とのご縁の集大成として食事に向かい合っている。
「功の多少を計り、彼の来処を量る」というその言葉には、働き、食べるという営みの尊さが詰まっているというお話でした。
そして20時半、定刻通りに、今回のほっと晩ごはんはお開きとなりました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!!
次回予告
ほっと晩ごはん〜秋の味覚を味わう会〜
2019年10月9日(水)19:00開催
参加費:2000円
定員:10名
申し込み受付は後日開始いたします!
皆さまのご参加をお待ちしております!!