PUNPEEが教えてくれた、原動力の大切さ

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このブログを初めて3年、これまで170本ほどの記事を書いてきたわけですが、実は最初期から取り上げるタイミングを伺ってきた人物がいます。

その人物の名は、PUNPEE(パンピー)。

先日、元AKB48の秋元才加さんとのご結婚が発表されたことでも話題になったラッパーです。

 

一般ピープルを略してパンピー、というのが名前の由来であるように、髪型・眼鏡・服装ともに、世間のイメージするラッパーとは異なる、サラリーマンのような出で立ち。


(SUMMIT公式HPより)

今回は、そんな「板橋のダメ兄貴」を自称するPUNPEE氏が最近起こしたアクションに、私があまりにも心を射抜かれてしまったので、その感動をお届けしたいと思います。

どんな分野の人でも、発信する上で自分の感動を原動力にしていくことの大切さについて趣味全開でお話しします。

Contents

アーティスト・PUNPEEとは?

さて、どこから語れば良いものか…。

ご本人は凡人を自称してPUNPEEと名乗っていますが、今となってはなんと皮肉なネーミングか…。

ラッパーとしての活動はもちろんのこと、ビートメイクといういわゆる作曲もこなし、さらには豊富なサブカル知識で映画やアメコミの評論はもはや専門家の域

また、そうしたサブカル知識はラップの歌詞やミュージックビデオ(MV)にも落とし込まれており、ライブなどでもファンを楽しませることに関して余念がありません。

昨年公開された『タイムマシーンに乗って』のMVは映画「バックトゥザフューチャー」のオマージュがふんだんに盛り込まれており、普段ラップを聴かない方も楽しめるはずです。

PUNPEEと私

いつかじっくり触れようと思って温存したせいで、PUNPEE氏については言いたいことが色々あり過ぎます。

大学生の時、禅活のウェブ担当の堀田にオススメされた時は「ふーん」としか思わなかったところから、

敬愛するライムスターの曲に出てきて、「お?なんか良いぞ?」って思ったり。

それから加山雄三さんご本人とも共演した『お嫁においで2015』を聴いて「え!すごくいいんですけど!」となり、

2016年の『夜を使いはたして』を聴いて思わず天を仰ぎ、

2017年にアルバム「MODERN TIMES」の頃には、完全にP様にひれ伏していた私。

その後は2019年には、これまた私が敬愛する星野源氏と楽曲制作をし、そして今年。

今年2月に開催予定だったライブのチケットに当選し、禅活メンバーの本田さんと行く予定だったのですが、新型コロナの影響で延期となり、少し落ち込んでいました。

そこにきた新曲リリース&ご結婚の吉報は、喜びもマシマシです。

6月30日のYoutubeライブ配信

さて、今回お話したいのはその新曲発表前夜のYoutubeライブのことです。

翌7月1日の配信開始に先駆けてライブ配信をし、配信終了と同時に収録曲の新曲「夢追人」のMVを公開、という流れでした。

配信自体は非常にほんわかとした雰囲気の中、実は以前出された曲に今のお嫁さんがボーカルとして入っていた、という発表などの驚きもありつつ、終了時間を迎えました。

と同時に、いよいよ「夢追人」のMVが公開されます。

正直なところ、事前に公開されたトラックリストを見て、今回はそこまで大きな感動を期待してなかったんです、私。

客演(ゲスト)も特にないようだし、曲数も少ないから、まあ前回のアルバムほどではないかな?という。

そんな風に何気なく、動画の編集をしながら横目でMVを観ていました。

夢追人 feat. KREVA

MVの内容は今から17年後、高校生くらいになったPUNPEE氏の息子が、すっかり落ちぶれてしまった父をよそに、古い映像を発見。

それを観てみると実はものすごいラッパーで、その映像が「夢追人」のMVになっている「未来で息子がMVを観ている」というMVなんです。

この「未来のPUNPEE」設定は以前から何度か使っている手法なので、そこまで驚きはなかったのですが、問題は2バース(曲の2番)目。

うそ

KREVAだああああ!

 

この驚きが伝わらない読者様にご説明しますと、KICK THE CAN CREWのメンバーとして紅白に出場、自身のアルバムはHIP-HOPアーティストで初めてのオリコンチャートで首位を獲得。

その他にも数多の実績を誇る日本を代表するラッパーの一人、KREVA(クレバ)。

そして平成3年生まれの私は、中学生の時にこのKREVA氏にがっつりと心を奪われていて、もうこれは夢の共演だったわけです。

この時、完全に動画編集の手は止まり、一人で「マジか!」を連呼している私がいました。

 

自分の楽しさを、誰かの楽しさに

事前の情報など一切ないまま、突然明らかになったKREVA氏との共演

そんな憎い演出に、コメント欄は沸きに沸きました。

PUNPEE氏のアーティストとしての本領は、制作はもちろんのことなのですが、こうした発信の仕方にあるように思います。

前作のアルバム『MODERN TIMES』には楽曲やCDジャケット、歌詞カードなどにイースターエッグなる秘密を仕込み、MVには様々なコミックや映画のオマージュを忍ばせる、実にサービス精神満載の作品を私たちに提供し続けてくれています

雑誌のインタビューで、撮影やレコーディングに使用する小物や音楽の準備には余念がないということも知りました。

そんなPUNPEE氏のこだわりやサービス精神の源はどこにあるのか、と考えた時、氏はよく「自分が楽しいと思ったものがこうだったから」という言葉を口にすることに気付きました。

つまり、自分が楽しい!かっこいい!と思ったものを今度は人に伝えたい、という気持ちが原動力になっているのではないかと、私は思うのです。

MVから伝わる姿勢

今回の「夢追人」のMVは、PUNPEE氏がラップをする場所がスタジアムの観客席から控室、そして最後にフィールドへと移り、そこでKREVA氏と共演という構成になっています。

 

これは氏が、HIP-HOPという文化やラップという音楽に出会い(観客席)

 

いつしか自分自身がプレイヤーを志し(控室)、

ついに日の目を見て、憧れの存在との共演(フィールド)

というストーリーになっていると考えられるのです。

そしてこの一連のストーリーの裏側には、常に自分が最初に抱いた感動や興奮、楽しさが原動力として存在していたということ、これは私たち僧侶も忘れてはならない重要なことと言えるでしょう。

発心を原動力に

曹洞宗では発心ほっしん、正式には発菩提心ほつぼだいしんを常にし続けることが仏道である、と説きます。

発心とは、仏道を志した時の心のことで、動機や初期衝動と言い換えることもできるかもしれません。

PUNPEE氏でいうところのHIP-HOPに出会い、自分もその道を行きたいと思った時の気持ちのことです。

ではHIP-HOPに出会った氏の感動や興奮を、僧侶に置き換えると何にあたるでしょうか。

私は「仏教に大きく頷いた時の気持ち」だと思っています。

自分で自分の首を絞めていた価値観や考え方を転換してくれた、悩みに応えてくれた、生きる指針をなった、など、仏教に納得させられて大きく頷かされた時の気持ちが、私は一つの発心だと思うのです。

私たち禅活のように、人に仏教を伝えることを修行の中心としている僧侶の中には、それがノルマや義務となり、いつの間にか苦痛すら感じるようになってしまうことがあります。

そうならないためには「自分が思わずお釈迦様に頷かされたあの時の気持ちを他の誰かにも」という気持ちを原動力としていく必要があるのないでしょうか。

PUNPEE氏は今や「一般ピープル」という領域にいる人ではありませんが、もしかすると「違うんだよ、すごいのはおれじゃなくてHIP-HOPなんだよ」というあくまでも一人のHIP-HOPファンであるという意図の現れなのかもしれません。

私たち僧侶も、どんな立場になろうと「違うんです!すごいのは仏教なんです!」と言える一人の仏教ファンでありたいですね。

まとめ

感動と熱意でキーボードを叩き、気づけば3700字。

今回私が言いたかったことをまとめるならば、最初の感動をお裾分けする気持ちは、非常に燃費の良いガソリンになる、ということです。

利益や名誉のために大きな困難を乗り越えるのは容易ではありませんが、そうした初期衝動や感動は、きっと強く背中を押してくれるはずです。

前に進むガソリンが切れたなら一旦スタート地点に戻ってみることも重要です。

一流のラッパーであると同時に一流のHIP-HOPファンであるPUNPEE氏から、僧侶としての姿勢を学びました。

 

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